SAO編
十一話 花に囲まれて
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カが確認するようにこちらを向く。その目に宿るのは希望と、少しの不安。
リョウが腕を組んでしっかりと頷くと、シリカも頷きかえし意を決したのか右手をのばす。
そしてシリカの右手が細い茎に触れた瞬間、それは砕けるように中ほどから茎が切れ、シリカの手の中に中央に真珠色の滴を溜めた白い花だけを残した。
確認のためシリカが指先でクリックし、出現させたネームウィンドウには確かに、《プネウマの花》と表示されていた。
「これで……ピナを生き返らせられるんですね……」
「おう。その花の滴を《心アイテム》に振りかければ、一発OKだ。だがまあ、此処じゃ帰り道に強いモンスターが多すぎて少々不安だからな。やるのは帰ってからにするとしよう。ってわけで、帰りも急ぐぞ?」
「はい!」
頷き、アイテム欄に花をしまうシリカの目には、歓喜と希望とに染まっていた。これからまた怖い思いをさせると思うとリョウは少々罪悪感が湧いたが。仕方ないと割り切る。
自分が守り切ればいい話だし特に不安も無い。
幸いなことに、帰り道では殆どモンスターにエンカウントしなかった。
駆け降りるように進み、麓に到達する。
後は街道を一時間歩くだけ。それでまたピナに会える──。
弾む胸を抑えつつ、心なしか軽くなった身体で若干スキップしながら小川に掛かる橋を渡ろうとした時突然、後ろから肩にリョウの手が掛けられた。
どきりとして振り返ると、リョウは何と言うかめんどくさそうな顔をして、橋の向こう側の道の両脇にある木立の方を睨んでいる。
やがて、首の後ろに手を回しながら呆れた様な声が吐き出された。
「おいそこの木の陰。バレバレだ、出てこい」
「え…………?」
シリカは慌ててリョウの見る方向に目を凝らすが、人影は見えない。
緊迫した数秒の後、不意に木の葉ががさりと動いた。
同時にプレイヤーを示すカーソルが表示されるが、色はグリーンなので少なくとも犯罪者では無い。
橋の向こうに姿を現したのは、シリカの知っている顔だった。
「ろ……ロザリアさん!?何でこんな所に……!?」
そう、出て来たのはロザリアだった。赤い髪。エナメル上に輝く黒のレザーアーマーを装備し、片手には細身の十字槍を携えている。
ロザリアは唇の片側を釣り上げた笑いを浮かべると、シリカを無視してリョウの方を向く。
「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高い策敵スキルね、あなどってたかしら?」
「さあな。お姉さんが高いと思ってるそのスキルが、実は結構低かっただけかもな」
リョウの皮肉を気にした様子も無く、ロザリアは今度はシリカに視線を移す。
「その様子だとし、首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでと、シリカちゃん」
ロザリアは明らかに何かを企ん
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