SAO編
十一話 花に囲まれて
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いる。
そこを指差して、俺は言った。
「ほーら、見えて来たぞぉ、あれが、《思い出の丘》だ」
「ほんとに一本道なんですね」
「なんだよ、疑ってたのか?ま、とにかく、基本的にはただ登って行くだけでいい。ただし、エンカウント率が異常なほど高いって話だから、あと少しだからって油断すんなよ?帰りもあるしな」
「はいっ!」
真剣な顔で答えるシリカの目には、大きな期待が宿っている。
そのせいか先程までより足が速くなり、リョウもそれに続く。
噂通り、登り道に踏み込んだとたん、モンスターのエンカウント率が高くなった。
しかし、シリカに持たせた短剣は俺の持つ武器の中でも結構強い部位に入るので、大体のモンスターは、通常の連撃ワンセットで倒す事が出来る。
ちなみに、複数の敵が出て来た時は一体を残して俺が倒すことにしていた。
初めの内は、《足技》を鍛えるために蹴りでモンスターを倒す俺に驚いていたシリカだったが、今は慣れたようだ。
ただ、少し瞳に疑念が混じっている所を見るに、俺の強さにに疑問は持っているようだが。
さて、激しいエンカウントの嵐を退けて、少し高い木立を抜けるとそこが頂上だった。
「うわあ……!」
シリカが歓声を上げる。
そこは木立に囲まれた中にぽっかりと空いた空間で、そこにこれまた色とりどりの花が咲き誇っていた。
「やーっと着いたなぁ」
少し疲れた声を出しつつ、リョウはシリカに歩み寄っていく。
ちなみに此処は、安地(モンスターの出ない、フィールド上の安全地帯の事。中立地帯とも言う)に設定されているので、モンスターは心配しなくていい。
「ここに……その、花が……」
「ん、話じゃ真ん中あたり岩が有って、そのてっぺん……聞いてねぇか。」
言いきる前にシリカは花畑の中央の白く大きな岩へと駆け出すと、そこを覗き込む。
リョウは後ろからのんびりと後ろから近づくが、岩の上が見えるか見えないかの所でシリカが血相を変えて振り返った。
「リョウさん!は、花が無い……!」
「はぁ?んなわけ……っておい!だから泣くなって!つーかよく見ろ!」
「え?……あ……」
また泣きそうになっているシリカを促し、岩に視線を戻させると、そこではちょうど一本の草の芽が伸び始めている所だった。
双葉の芽はやがて白い蕾に姿を変え、それをだんだんと膨らませながら茎をのばしていく……
テレビなどで、植物が生長する早送りの映像等を見た事が有るだろうか?
それと同じ事が、今目の前で、リアルタイムで行われていた。
そして──
リョウとシリカが見守る中、その涙滴型の蕾は徐々にほころび、ついに、しゃらんと言う鈴のような音と共に花開いた。
リョウとシリカは暫くその神秘的な情景に見とれていたが、やがてシリ
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