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SAO─戦士達の物語
SAO編
十一話 花に囲まれて
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ょいと持ち上げた。

「わっ!?」
 足から宙吊りにされたシリカは身体が上下逆さまになり、かなり不安定な体制になる。
しかしそれだけでは収まらない。
まぁ当然と言えばそうなのだが、シリカが下半身に来ていたのは黒いスカートだったわけで……それが仮想の重力と物理法則に馬鹿正直に従いずりりっと下がる。

「わわわ!?」
「おぉ、すっげ」
 慌ててシリカは左手でその裾を抑え、右手を使って自分の足に巻きつくツタを切ろうとしているが、いかんせん無理な体勢であるせいで上手くいってない。
左手を使ってツタを掴めばいいのだが、それをするとスカートが完全にずり落ちるわけだ。
最早必死と言った様子のシリカは、顔を真っ赤にして助けを求めて来た。

「り、リョウさん助けて!見ないで助けて!」
「無茶を言うな。蔦切るぞ」
 淡々と言いつつ俺は袖の中から刃の部分だけが金属で、他は木で出来たブーメランを取り出す。
これは投擲スキル専用のアイテムで、鉄製のナイフやピックには威力で劣る代わり、耐久限界値までは自分から主人のもとに帰って来ると言う便利な投擲武器だ。(通常は回収したければ自分で取りに行く)

「疾っ!!」
鋭い呼吸と共に投げ出されたブーメランは水色のライトエフェクトを纏っている。

投剣、初級技「カッターシュート」
まぁ、ただ普通に投げるよりも少し威力が高い位の技が出来る投擲技だ。

 回転し、飛んで言ったブーメランはシリカを拘束していたツタを切る。
戻って来るブーメランを取るまでの間にシリカは体制を立て直して空中でソードスキルを繰り出し、忠告通り花の首根っこを攻撃。
すると巨大花は頭をころりと落とすと同時にがしゃーんと爆散し、ポリゴンの欠片を浴びながら着地したシリカは、振り向くと殆ど同時に俺に訪ねた。

「……見ました?」
ふむ、表情が真剣だな。
俺は肩をすくめながら答える。

「白、むがぺっ!?」
「リョウさんの馬鹿ぁ!!」
蹴られた。痛い

────

 初めの戦闘終了後、五回ほど戦闘をするとようやくモンスターの姿にも慣れ、二人は快調に行程を消化して行った。
一度イソギンチャクに似たモンスターの、粘液まみれの触手に全身をぐるぐる巻きにされた時は意識が飛びかけたが。

 リョウの方は基本的には後ろから傍観しているだけで、危なくなると、ブーメランを投げて援護するだけのサポート役に徹していた。
この世界でのパーティプレイは、モンスターに与えたダメージの量によって経験値が分配されるため、高レベルのモンスターを次々に倒したシリカはたちまちレベルを一つ上げた。

 赤レンガの街道を進んでいくと、小川にかかった小さな橋が有り、その向こうに一際小高い丘が見えて来た。
直線の街道は、その頂上までつながって
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