SAO編
十一話 花に囲まれて
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「転移!フローリア!」
一瞬、軽い転移時特有の浮遊感がしたかと思うと、次の瞬間には無数の色彩の乱舞がシリカの目の中に飛び込んで来た。
「うわあ……!」
意識せずして、自然と歓声が口から洩れる。
第四十七層 主街区 《フローリア》
そのゲート広場は、無数の花々詰め尽くされていた。
円形の広場を細い通路が十字に貫き、それ以外の場所が煉瓦で出来た花壇となっていて、そこに、見た事の無い花々がまるで周りに埋もれないよう自分の存在を主張するかのように一輪一輪咲き誇っている。
「すごい……」
「この層の通称は《フラワーガーデン》、街どころかこの階層事態の至る所が花だらけなんだぜ?まったく、ある意味大したもんだ」
「ある意味って言うか……す、凄いです!」
「凄いと言えば、北の森には滅茶苦茶でかいラフレシアみたいなのもある」
「そ、それはちょっと……」
「まぁ、あれの匂いには俺も参ったからなぁ」
そう言ってリョウに笑い、シリカは花壇を覗き込む。
水色っぽい、矢車草にも似た花に顔を近づけ、香りを吸い込む。
花は、花弁からおしべ、葉や茎に至るまで、驚くほどリアルに作られていた。
ただし、それはシリカが注目しているこの花だけで、視界の端に移る花は、グラフィックは少々雑だ。
これはSAOに採用されている、《ディチール・フォーカシング・システム》による物である。
これは簡単にいえば「プレイヤーの注目した物のみ、そのディティールがリアルになる。」と言う仕組みだ。
ナーヴギアに使われているCPUや、SAOのメインフレームは確かに優秀だが、流石にこの広大なアインクラッド全域のグラフィックをリアルに出来るほどのキャパシティを備えてはいない。
しかし、このシステムを使えばシステムにかかる負荷は大幅に減り、なおかつ、プレイヤーには本物さながらの見事なグラフィックを体感してもらう事が出来る。
ちなみに、この仕組みを思いついたのも、ゲームデザイナーでもある茅場本人だとかそうでないとか言われている。
閑話休題
存分に花の香りと色彩を楽しんだシリカが顔を上げると、リョウは近くの屋台で何か買い物をしていた。
振り向いたリョウは、面白い物を見つけた子供の様な表情でこちらに駆け寄ってきた。
「見ろシリカ、こんなもんが有ったぞ。」
「何ですか……?壺?」
リョウの小脇には、茶色い16,7pくらいの壺が抱えられていた。
壺の中からは、5本の竹串が突きだしている。
「これはな、60本までならどれだけ食べても団子が次々に中から湧き出るように出て来ると言う団子好きにはたまらない魔法の壺なのだ。まぁ、先ずは一本食ってみ?」
「は、はぁ……いただきます。」
喜々とした表情で壺をこちらに差し出してくるリョウに、完全に花より団
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