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弱者の足掻き
十話 「登っているのか降りているのか」
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 目の前には階段がある。とても長い階段だ。自分はその一番上まで上がりたいと思っている。
 一段一段最後まで上がることは許されていない。いや、そんな時間はないといったほうが正しいだろう。

 助走をつけて一息で跳ぼうか? そう思うが頂上までの距離は思ったよりも高く自信がない。跳びきれず足を打ち付けのたうち回る様が容易に想像できてしまう。
 そう思い一段登る。時間の許す限り少しでも登り近づけばそれだけ楽になるからと。
 そしてもう一歩、足を進めるのだ。少しでも楽になるために。跳ぶ距離を減らすために。

 霞と見えない頂上に手を伸ばすために。










 
「今回はこれや」


 いつもと変わらぬ胡散臭い表情をした火車から渡された紙を読む。
 頼んでおいた通りの情報に流石だと内心舌を巻いてしまう。一体どうやって仕入れてきているのだろうか。


「これで何回目やったけ。そないな情報知ってどうするん?」
「少しこいつらに用があるんですよ」
「……知り合いなんそいつらと? あんま褒められたことやないで」
「いえ全く。名前を聞いたこともありませんよ」


 軽く手を挙げて無関係を訴える。あんな連中と同類だと思われるなんてゴメンだと俺は返す。
 していることも全く違ってこちとら善良な一般市民ですよ。


「いずれ何がしたいのかわかりますよ。それで証明します」
「何を言いたいのか分からんが、まあええ」


 火車との付き合いも数ヶ月。そこそこの信頼も結んである。
 確かに火車が疑問に思うのも仕方ないことだ。何せ初めて会った時からずっと頼んでいることだからだ。とある連中の捜索。大雑把でいいと頼んだのに毎回詳細に教えてくれる辺り気前がよくてありがたい。
 狐を思わせる男、火車の網はどこまであるのか。今のところそう遠くまでの事は頼んでいないが一回うんと遠くの事を頼んでみたらどうなるのか少し気になる。


「変な頼みごとなら受けんで」
「そんな事するわけないじゃないですか嫌だなー」


 キセルを蒸して向けてくる細い目に誤魔化す様に返しそそくさと紙を懐にしまう。
 ちょっと風の国のこととか岩の国の特産物欲しいなーとか思ったりとかしてないですよホント。ボク嘘つかない。


「さっきの連中少ししたらどっか行ってまうで。別の連中でもええなら別やけどはよしいや」
「何日くらいかわかります?」
「そやなぁ……三日四日はおると思うで。念のため動くルートもいくつか書いといたさかい」


 山中の道がいくつか予想で書かれている。これだけあれば十分過ぎる。
 頭の中でするべきことを軽く計算する。今のところ問題は何一つない。するべきことはなんて事はないゴミ掃除と経験値積みで俗に
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