第三話 日々その十一
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「まあそういう奴が多い」
「やはりな」
「しかしじゃ」
だがここでまた話すのだった。
「それだけではないぞ」
「そういう奴もいるのか」
「そういうことじゃ。それでじゃ」
博士はまた彼に言う。
「どうするのじゃ?」
「どうする?」
「そうじゃ。負けたが生きておるな」
「ああ」
これは事実である。確かに彼は生きている。敗れたうえに情けをかけられるという屈辱的なものであったがそれでも生きていることは事実であった。博士に言われるまでもなくこのことははっきりとわかっていた。
「またそ奴と闘うのじゃな」
「そうしなければならないんだな」
「はっきり言ってしまえばそうじゃ」
博士もそれは否定しない。
「髑髏天使は魔物を倒すものじゃからな」
「そうだな。では」
「それで今は剣を使っておるな」
このこともまたあらためて牧村に問うてきた。
「確か。そうじゃな」
「ああ、今はな」
そして牧村もまた再びこの問いに頷いてみせた。
「使っている。剣をな」
「それではじゃ。その剣で敗れたのなら」
「そうなら」
「剣の使い方を身に着けるのじゃな」
静かにこう教えるのであった。
「それをな。結局はそれじゃ」
「剣をか」
「ほれ、色々あるじゃろうが」
こうも牧村に語る。
「素振りをしたりな。稽古をしたり」
「素振りか。剣道と同じだな」
「相手がおればなおよい」
さらに述べる。
「おればな。相手がおるのが最もよい」
「そうだな。そういうことは何でもな」
牧村自身も博士のその言葉に納得したように頷く。
「いればいいな」
「そういうことじゃよ。まあ今は身に着けるのじゃ」
「剣の使い方をか」
「幸いこの大学にはあれじゃろ」
「あれ?」
「フェシングじゃよ」
笑いながら剣を扱うスポーツの名前を出してきた。言わずと知れた西洋の剣術である。髑髏天使が使っている剣が西洋のものであるからこの場合は妥当であった。
「あれをやってはどうじゃ?」
「鍛錬にか」
「丁度いいと思うぞ」
また彼に述べる。
「剣の使い方を身に着けるにはな。どうじゃ?」
「そうだな」
そして彼自身も博士のその言葉に頷くのだった。
「言われてみればな。そうだな」
「ではやってみるか」
「この大学のフェシング部はどうだったか」
「さて」
牧村のこの問いには首を捻るだけであった。
「そこまではのう。わしはスポーツの類はからっきしじゃから」
「強さまでは知らないか」
「済まんな。残念じゃが」
「しかし。あることは確かだな」
ここは念を押して問うのだった。
「ならいい。行ってみる」
「うむ、そうするべきじゃな」
「少なくとも型を覚えることができるし練習もできる」
「一人でもするのか?」
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