第二十二話 主天その三
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「させる立場じゃない」
「だからよいのか」
「そうだ。だが頼む」
それでもこうは言うのだった。
「何と書いてあるのかな。解読してくれ」
「わかっておるぞ。実は楽しみでもある」
「楽しみ?」
「こうして文字を解読していくのも楽しいものなのじゃよ」
それが楽しいというのである。ある意味非常に学者らしい言葉であった。
「これがのう。実にじゃ」
「そういうものなのか」
「だからこそ学者をやれるんじゃ」
博士はこうも述べた。
「こうしたことが楽しいからこそじゃ」
「俺が楽しいと思うことは今は」
「甘いものを食べること?」
「それだよね」
ここで横から妖怪達が言ってきた。
「牧村さん甘いもの大好きだからね」
「それもかなりね」
「それはその通りだ」
彼もそれは否定しなかった。
「甘いものはいい」
「そうそう。いいよね」
「やっぱり甘いものだよ」
彼等はそんなことを言いながら今もその甘いものを食べていた。キンツバやドラ焼きといったものを次々と口の中に入れていっている。
「これ食べて明るくいかないとね」
「生きている意味がないよ」
「それはいいが今回は和菓子か」
牧村は彼等が食べているそれを見て言うのだった。
「和菓子も食べるのか」
「食べるよ」
「ねえ」
彼等はその和菓子を次々に口の中を食べながら牧村に答える。
「牧村さんもどう?」
「この団子とかさ」
言いながら竜宮童子が一本の三色団子を出してきた。外見は和服を着て鼻水をたらした汚らしい男の子である。その妖怪が牧村に団子を差し出してきたのだ。
「どう?」
「もらおうか」
その竜宮童子から団子を受け取る牧村だった。そのうえで団子を上から口の中に入れていく。するとほのかな甘みともちもちとした感触が口の中を支配した。
「あっ、いいね」
「竜宮童子から貰えるなんて」
「牧村さんに幸運があるよ」
「あるのか」
牧村はその団子を食べながら妖怪達の言葉に応えた。
「これであるのか」
「あるよ。だって竜宮童子がいる家って栄えるから」
「その竜宮童子に貰ったんだから」
「もうその効果はばっちりだよ」
こう彼に話すのだった。
「さて、どんな幸運が訪れるかな」
「楽しみだね」
「運は自分で手繰り寄せるものだ」
だが牧村は彼等の言葉を聞いてもにこりともせずいつもの調子だった。
「そんなものはな」
「だから今手繰り寄せたんだよ」
「そういうこと」
しかし牧村はそれはそれでこう返したのだった。
「竜宮童子からのお団子受け取ったからね」
「善き哉善き哉」
言いながらさらに団子を食べる彼等であった。
「それはそうとしてさ」
「これ食べる?」
「これも」
今度はから傘と一つ目小僧がキンツバとド
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