SAO編
十話 風見鶏亭の夜
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いって、彼女の部屋に運ぼうにも、システム上、彼女以外が彼女の部屋の扉を開くことはできない。
「しかたない、か。」
俺は嘆きつつ、掛け布団をしっかり掛けてやり、座った体制のままベットの外に投げ出されていた足もベットの中に戻す。
そんな事をしてるうち、ふと、先程シリカに言われた事が頭の中に蘇った。
『それに、私がこんな事言っていいのかは分からないですけど……自分のやった間違いを哀しめる人が、普通のオレンジの人たちと何もかも一緒だなんて、私は思いません。』
正直、言われた時は驚いた。
俺は、人とは少し違う所が有る。
異常、特殊、変態。
幾らでも言い方はあろうが、取りあえず、俺には常人とは決定的に違う所が有るのだ。
……それは多分、悪い意味で。
その違いのせいで俺は、自分の犯した罪に、自分が何を思い、感じているのか、未だに答えを見つけられていない。
もしかしたら、答えなど自分には見つけられないのかもしれないと、最近は半ばあきらめていた。
だが、実際はどうだ?
俺はこんな初対面の少女でも見てとれるほど、あの時の事を分かりやすく哀しんでいたらしい。
その事に気がつかされた。
今まで、この子よりよっぽどながく共に居た連中にも気が付かされなかった事を、だ。
ゆえに驚いたし、同時に思った。
俺は、哀しんでいたのか?
この問いは、俺自身への問いだ。
もしかしたらそれは、答えを見つけるための欠片の一つになるかもしれない。
それがシリカの勘違いであったり、俺の中の何処かに有る願望にすがった逃げだったとしても、だ。
だから今は、側で眠るこの少女に感謝した。
自分の中の、答えの見えない問いに一つヒントをくれた、この少女に。
「さてと……寝るか」
ちなみにその日は、寝袋で寝た。
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