SAO編
十話 風見鶏亭の夜
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からを立ち上がる。
怪訝そうな顔をするシリカに人差し指を口唇にあてて静かにするように伝えつつ、俺は足音を殺してドアへと近づく。気付かれないよう、徐々に声にトーンを落としながら。
「此処まで辿り着けば後はもう此処から丘が見えるから一直線、ってこ〜んな夜更けになぁんの御用ですかなお兄サァン!?」
ドアを開けながらそう言い放つと、一瞬呆けたような顔を見せた盗み聞き犯は慌てて逃げ出した。正直追いつくのは容易いが、此処は泳がせるのが得策だろうと思い特に追いかけずにそのまま逃がす。
慌てたようにシリカがドアから顔を出した時には、既に盗み聞き犯は下へ続く階段を駆け降りる所だった。
「な、何……!?」
「……話を聞かれてた。盗聴だな」
「盗聴……!?で、でも、ドア越しじゃあ声は聞こえない筈……ですよね?」
「ところがどっこい、聞き耳スキルが高いとそうでもないんだなこれが。まぁ、そんなスキル上げてる物好きはあんまいないがな」
かく言う俺もその物好きの一人なわけだが、まぁそこはスル―する方向で。
部屋の中に戻りドアを閉めると、俺は再びベットに座る。さてさて、これからどうするか……
取りあえず、ロザリア達[タイタンズハンド]が俺達、(正確にはプネウマの花)をターゲットにした事は確かなようだ。こちらとしては一網打尽が最も望ましいので、どちらかと言うと俺の都合の良い方向に事態は転がっていると言える。
と、隣に座るシリカに視線を向けると、彼女は不安げな表情で、自分の事を抱きしめるように両腕を自身の身体に回している。
まぁ無理も無い。夜中に自分達の会話が盗聴されたなんて知ったら、特にこの歳の女子では誰だって不安だろう。
「……大丈夫か?」
「あ、はい。……でも、何で盗み聞きなんか……」
「少なくとも俺達にとっちゃ愉快でも何でもない……ろくな理由じゃねぇのは間違いねぇわな。ちょいとメッセージを送るから待っててくれ。」
言いつつ俺は、机の上のスフィアを片づけつつ、ウィンドウからホロキーボードを開き、ロレントに現状報告のメッセージを送る。
ロレントからは、「よろしく頼む」とだけの答えが返って来た。
「さて、説明は途中でキレたけど、そろそろ遅いしお前さんも自分の部屋に、っておいおい……」
メッセージを打ち終わり、そう言いながらベットの方に振りかえると、シリカは俺のベットの上で静かな寝息を立てていた。
「ったく……ほらほら、さっさと自分の部屋に──」
「すぅ……すぅ……」
「…………はぁ、警戒心ってのはねぇのかね、この子は。」
普通今日始めて出会った相手の部屋には寝ないだろ。それも異性だってのに……
「……しかしまぁ、此処まで気持ちよさそうに寝てるとなぁ……」
正直、起こすのも悪い気がする。かと
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