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SAO─戦士達の物語
SAO編
十話 風見鶏亭の夜
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何とも現金な事だが、この時からシリカのやる気は二倍増しとなった(もちろん再優先はピナだが)

────

「ふぅ……」
 飯を食べた後俺達は、明日に備えあてがわれた部屋で早めに休むことにした。
しかし、シリカと別れてから約一時間ちょっと。
俺は、SAOに来てから毎日欠かさず行っている、とある日課をこなしていた。

 俺の日課。
それはその日の活動を始める前、起床してからの二時間と、就寝前の二時間に一つのスキルを徹底して使いまくる。と言う物だ。

 SAOのスキルシステムは、レベル制や、ポイント制ではなく、その系統のスキルを繰り返し使う事で凄まじくゆっくりした速度で溜まっていく。
しかし、たとえゆっくりと言っても、そのスキルだけを徹底的に連続で使っていけば、大体二時間で2か、多ければ3くらいはスキル値が上がるのだ。
 スキルのマスター値は1000、一日に大体4程度上がるので、単純計算で250日で、一つのスキルをマスターできる事になる。そしてこのゲームが始まってから約1年半。
俺の完全習得しているスキルは、フィールドでも意味も無く歩きながら使えるスキルを使いまくっていたりする事もあり、メインに使っている武器と、武器防御、策敵、音楽の四つだ。もうすぐマスターできそうなスキルも後二つ三つある。

「ふっ!ふっ!」
 ちなみに今鍛えているのは、《足技》と言う《体術》のスキルからの派生形スキルだ。
名の通り、蹴りを《体術》のスキルで徹底的に使用すると現れるスキルで、蹴りを初めとした足を使う技が集中している。
ちなみに、ただ蹴り続けると言う地味な作業を繰り返さなくてはならないため殆ど鍛えているプレイヤーは居ない。
ならなぜ俺がこのスキルを上げているのかと言うと……俺が体術における蹴り技の、ある特異性に気が付いたからだ。
まぁ、それについては今はどうでもいい。

「ふっ!ふっ!」
 只々、何度も何度もスキルを発動させては繰り出し、発動、繰り出しの繰り返し。
退屈だし、精神的に疲れるが、もう慣れた。

 さて、それからさらに約二、三十分、時刻は午後九時台後半になっており、そろそろやめにしようと足を止めた所へ、まるで狙ったように部屋に扉をノックする音が響いた。

「おう?はいはーい?」
遅い時間の訪問者に疑問を抱きつつ、ドアを開けるとそこに居たのは、先程までと違い、可愛らしいチュニックを身にまとったシリカだった。

「なんだ、どした?」
「あの──」
 口ごもるシリカに、俺は少しばかり悪戯心をくすぐられる。

「なんだあれか?もしかしてシリカって一人だと寝れない人なのか?しかし流石に此処に来るのは……」
「ち、違います!ええと、その……よ、四十七層のことを、聞いてねかったなって、思っただけで!」

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