第二十一話 人狼その二十
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一瞬であった。一瞬で交差した。髑髏天使も魔物も互いに背中合わせになっていた。そしてまず口を開いたのはモズマの方であった。
「成程」
「納得したか」
「はい」
こう髑髏天使に答える魔物であった。
「これでわかりました」
「ならいい」
「見事です」
魔物は言うのだった。
「まさかこれ程までとは」
「貴様もな」
髑髏天使もまた魔物に言葉を返した。
返すとここでその左肩から血が噴き出た。間欠泉の様に出る。
しかし彼は立っていた。血が流れようとも。しかし魔物は。
その身体から青白い炎が出て来た。そしてその中で。次第に燃えていった。
「流石は僅かな間で力天使になられただけはあります」
「それだけ俺が強いということか」
「そうです。そうでなければです」
魔物は炎に包まれながら言うのだった。
「私を倒せはしません」
「貴様も。俺の肩に傷を付けたか」
「つけることはつけられましたが」
「それでも勝ったのは俺か」
「そういうことです。それでは」
「ああ」
「さようならです」
最後にこう言って炎の中に消えるのだった。今回の戦いも髑髏天使の勝利に終わった。
すぐに髑髏天使から牧村の姿に戻る。そこにライダースーツを着た死神がやって来た。
そしてそのうえで。牧村に声をかけてきたのだ。
「そちらも終わったようだな」
「生きていたのか」
「生きていなければ今貴様とこうして話すことはない」
こう返す死神だった。
「そうではないのか」
「その通りだな。そして俺も生きている」
「だが傷を受けたか」
「肩か」
ふと自分の左肩を見る。だがそこはもう血が滲んでいるだけになっていた。それだけになっているのであった。
「今血が噴き出したのだがな」
「髑髏天使は階級があがればあがる程傷の回復が早くなる」
死神は言うのだった。
「それだけな」
「そうか。強くなればなる程か」
「そしてだ」
死神の言葉はさらに続く。
「血の色は赤だけとは限らない」
「人の血は赤だが」
牧村は表情を変えず死神に顔を向けた。死神は彼の左に立っていた。そちらに顔を向けてそのうえで彼に声をかけたのである。
「違うのか」
「それはその通りだ」
人の血については、ということだった。
「人はな」
「では俺の血は赤だ」
今の死神の言葉を述べて言う牧村だった。
「これからもな」
「そうであればいいがな」
「何が言いたい」
「いや」
今は言おうとしない死神だった。
「それだけだ。ではな」
「帰るのか」
「闘いは終わった」
こう告げて牧村に背を向けそうして。自分のハーレーに戻るのだった。
ハーレーに跨りそのうえでヘルメットを被る。そのうえでまた牧村に告げてきた。彼に声をかけなが
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