第二十一話 人狼その十九
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「それはあるのだ」
「では見せてもらいましょう」
魔物には絶対の自信があった。決して姿を見られないという。だからこそ今このように言葉を返すことができたのであった。
「そのカードを」
言いながらまた攻撃を繰り出す。またしても血の槍だった。髑髏天使はそれをかわしそのうえで。背中にあるその翼を羽ばたかせたのだった。
「翼を!?」
「見るのだ」
羽ばたかせながらの言葉だった。
「これが貴様を倒すその切り札だ」
「まさかと思いますが」
魔物の声が怪訝なものになっていた。
「その羽根に刃でも仕込んでおられるのですか」
「安心しろ。それはない」
そうではないというのである。
「だが」
「だが?」
「この羽根で貴様を倒す」
翼から生じそのうえで辺りに舞うその羽根を見ながらの言葉であった。
「この羽根でな」
「仰る意味がよくわかりませんが」
声が首を傾げたものであるのもまたわかるものだった。
「今のは」
「そしてだ」
髑髏天使は今の魔物の言葉には答えずにまた言うのであった。
「次にこれを使う」
「むっ!?」
軽い風が起こったのだった。辺りに。
「風を起こされたのですね」
「風はものを運ぶ」
髑髏天使はまた言った。
「そして」
「そして」
「羽根が貴様を教えてくれるのだ」
やがて舞うその羽根達はある場所で動きを止めていった。舞う羽根達のうちの幾割かがある場所で止まり。次第にその数を増やしていったのである。
「むっ、これは」
「そこか」
髑髏天使はその羽根が止まっていく空間を見て述べた。
「そこにいたな」
「そうですか。羽根達は」
「その通りだ。貴様が何処にいるか知らせてくれるものだ」
それだというのである。
「その為の羽根だったのだ」
「成程。ただ舞わせただけではないのですね」
「そういうことだ。これで貴様の居場所はわかった」
何時しか羽根は人の形を映し出していた。そこにいるのが何者なのか。もう言うまでもないことであった。これ以上なくはっきりとである。
「そこだな」
「お見事です。それでは」
「決める」
髑髏天使は姿を映し出された魔物に対して構えを取った。
「これでな」
「確かにわかってしまいましたが」
魔物は徐々に姿を現わしてきた。あの肉と血管、それに骨が浮き出たその姿を。
「ですがまだ勝負が決まったわけではないことは申し上げておきます」
「貴様はまだ立っているからですか」
「そうです」
だからだというのである。
「だからこそ。まだなのです」
「そうだな」
髑髏天使は魔物のその言葉を受けた。否定しなかった。
「言われて見ればそれもその通りだ」
「決まるのはどちらが倒れてから」
魔物はまた言ってきた。
「そ
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