SAO編
九話 歩み始めた二人
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目線はシリカに向いていた。
話を聞く限り、どうやらシリカをパーティに誘っているようだ。にしても……
『ずいぶんと熱烈なこったなぁ。』
流石は中層プレイヤーのアイドルとでも言おうか。
迷いの森に一人で入った時のセリフは、正直な所調子に乗り過ぎではないかとも思えたが……
成程、これでは確かに、この年の子では少々自惚れてしまうのも頷ける。
「あ、あの……お話はありがたいんですけど……」
シリカも断るのに必死だ。
「……しばらくこの人とパーティを組むことになったので……」
あ、そこで俺に話が回って来る訳か。
まぁ、そりゃそーか。原因は俺だし。
シリカの取り巻きと化していたプレイヤーたちは、ひとしきり愚痴を言った後、俺に視線を向ける。
その眼に有るのは嫉妬、疑問、興味も交じってんな。
いずれにせよ、好意的な感情は皆無。まぁ慣れっこだしどうって事も無いが。
「おい、あんた」
両手剣を背中に背負った青年が結構高圧的な態度で話しかけてくる。
「いきなり出て来て、抜け駆けはやめてもらいたいんだがな。俺らはずっと前からこの子に声かけてるんだ。順序って物があるだろう」
「あー……つっても流れだったから……俺にもどうにも。」
順序って、行列の出るラーメン屋じゃあるまいし……っつーか、パーティ勧誘ってのは誘われた側に選ぶ権利が有るから俺に文句を言うのは道理が違うってもんなんだが、こいつの言いたい事も分からんでも無いと言うか……下手な事言いづらいぞ。
「あ、あの、あたしの方から頼んだんです、すみません!」
「おっ!?シリカさん、ちょ……」
袖をつかんで足早にその場を立ち去ろうとするシリカに引っ張られる形で、俺はそこから離れた。
北の通りに入り、プレイヤーたちの姿が見えなくなった所でやっとシリカは息を付きこちらに向き直る。
「すみません、迷惑を……」
「ああ、気にすんな気にすんな。特に何とも思ってねぇし。むしろお前の人気っぷりに驚いてる所だよ。」
「そんな事……あんなの、ただのマスコットみたいなもので誘われてるんです。なのに、良い気になって、自分が強くなったと勘違いして、調子に乗って一人で森に入って、それで……」
げ、また泣きそうになってるし、今のこいつにあの使い魔の事は禁句だなこりゃ。
まぁ、落ち込まれ続けられても困るしなぁ。
「んな顔するな。さっきも言っただろ?過去から学び──」
「未来を見つつ今を、ですね。分かっては、居るんですけど……」
そう言ってまたうつむく。今は見えないが、目を見なくても不安なのは様子で分かる。
……ったく、見くびられたもんだ。
「心配しすぎだっての」
「あ……」
無意識に、シリカの頭に手を置いていた。
──その手の動きが、現実にいたこ
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