第二十一話 人狼その九
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「二人もいい」
「そうよね。じゃあ帰ったらね」
「二人で整理体操だな」
「ええ」
にこりと笑う若奈だった。彼等は帰ると本当に二人で整理体操をした。それからも牧村はトレーニングを行った。それが終わってから家に帰る。家に帰ってもまだ日は高い。途中で店に寄ろうとしたがふと気が変わって道の橋の上でサイドカーを止めた。そうしてそこで下に流れる川を見ながら休息を取ることにした。しかしここで、であった。
「貴様か」
「暫くぶりだな」
まず彼の目の前に出て来たのは青年だった。その鋭い顔を牧村に向ける。
「相変わらず生きているようだな」
「俺は死なない」
牧村は橋の手すりに自分の身体を背中からもたれさせていた。そのうえで両肘をその手すりにかけそのうえで青年に応えていた。
「少なくとも貴様等に倒されることはない」
「相変わらず気が強くて何よりだ」
青年は牧村のその言葉をまず受け取った。
「しかしだ。今回はどうか」
「今度の相手は貴様の配下か」
「一人はな」
「一人は、というのだった。
「俺の配下だ」
「一人は、か」
牧村も彼の今の言葉で察したのだった。
「ではもう一人は」
「俺が連れて来た」
青年の左手から急にもう一人出て来た。まるで彼の影から出て来るようにして。それはあのロッカーであった。
「この俺がな」
「ハードロッカーか」
「その姿を取っているつもりだ」
ロッカーは今は黒いサングラスをしていた。そのサングラスに左手の人差し指と親指をかけながらそのうえで牧村に対して答えてきたのだった。
「だからこそそう言ってもらって何よりだ」
「貴様が新しい魔神だな」
「そうだ。人狼だ」
彼は己のありのままを牧村に告げた。
「それが俺だ」
「今度は人狼か」
牧村は彼の言葉を聞いて述べた。
「これで七柱か」
「そして貴様が逢う最後の魔神だ」
ロッカーは不敵な笑みを口元に浮かべて言ってみせた。
「この俺がな」
「さっきも言ったが俺は貴様等に倒されることはない」
手すりに背中をもたれさせかけたままの言葉だった。
「何があろうともな」
「では。ここでもか」
「そうだ。戦うからには勝つ」
今の言葉は宣言であった。
「何があろうともな」
「面白い。それではだ」
ロッカーの笑みがさらに深いものになった。そうして。
「場所はここでいいな」
「望むところだ」
こう返す牧村だった。
「何処であろうといい。貴様等が望む場所でだ」
「よかろう。それならばだ」
「そうだな。私もここでいい」
ここでもう一人の声がした。それは。
牧村と二人で魔神達を挟み込む形になっていた。死神は青年とロッカーの後ろにいた。そこでハーレーを後ろにして立っているのであった。
「貴様等がここで
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