第13話
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千切る勢いで駆ければ四歩で相手の懐へ飛び込める距離。
動け、と上条は先ほどから動かない両足に必死に命令を送る。
「魔法名を名乗る前に、彼女を保護させてもらえませんか?」
地面に張り付いた両足を無理矢理引き剥がすように一歩前に踏み込んだ。
「おおっ・・・ぁああああああああ!!!!!」
さらに一歩、後ろへ逃げるにも左右に避ける事も何かを盾にする事も出来なければ、残るのは一つ、前へ進んで道を切り拓く他に方法がない。
「何が貴方をそこまで駆り立てるのかは分かりませんが。」
神裂は呆れるより哀れみの色が混じるため息を吐きだす。
七閃。
辺りには砕かれた地面や街路樹の細かい破片が砂埃のように漂うよ轟!!、という風の唸りと共に砂埃が上条の眼前で八つに切断された。
上条は右手で消せると頭で分かっていてもとっさに回避を選んでしまう。
頭を振り回すような勢いで身を屈め、頭上を通り過ぎる七つの太刀筋に心臓が凍える。
避けれたのはたまたま運が良かっただけだがさらに一歩踏み出していく。
七閃がどれだけ得体のしれない攻撃だったとしてもその基本は「居合斬り」で一撃必殺の斬撃を繰り出す古式剣術、逆に言えば刀身が鞘から抜けている間は居合斬りを使えない無防備な「死に体」という事だ。
懐に飛び込めば勝てる、そう思った上条の最後の余裕はチン、と鞘に収めた刀が立てるほんの小さな金属音によって木っ端微塵に撃ち砕かれた。
七閃。
轟!!と上条の目の前でゼロ距離と呼べるほど間近で繰り出される。
身体の反射神経がとっさに避けようとする前に七つの太刀筋が上条の目の前に七つの太刀筋が目に迫る。
「ち、くしょ・・ぁああああああああ!!!!!」
叫びと共に右手を太刀筋に向かって右手の拳を突き出す。
ゼロ距離という事もあってか七つの太刀筋はバラけず一つの束ねて上条へと襲いかかるがこれなら立った一度の幻想殺し《イマジンブレイカー》で七つ全てを吹き飛ばす事も出来る。
だが月明かりに青く光る太刀筋が、上条の拳を作る指の皮膚に優しく触れてそのままめり込んできた。
「なっ!?」
上条はとっさに手を引こうとするが間に合わず、次の瞬間には辺り一面に肉を引き裂く水っぽい音が鳴り響いた。
上条は血まみれの右手を左手で押さえつけ、その場で膝を折って屈んでいた。
「なんて、こった・・・・そもそも魔術師じゃなかったのか、アンタ。」
七閃の正体は異能の力ではなく七本の鋼糸だった。
なによりあの馬鹿長い刀はただの飾りで刀を抜いた瞬間も見える訳がなかった、わずかに鞘の中で刀を動かして、再び戻す。
その仕草で、七本の鋼糸を操る手を隠していたのだ。
「言った筈です、ステイルから話は聞いていた、と。
これで分
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