第72話 廃城の賊
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たので、これを機会に手から気を放つための修行に励んでいます。
「冥琳、私は冗談抜きに矢で射られようと、剣で斬られようと死なない。星、お前の龍牙で私を刺せ」
「主を私の龍牙で刺すのですか?刃こぼれするので兵卒が持っている槍でよろしいですか?」
星は自分の獲物である龍牙を手で撫でつつ難色を示しました。
「それでいいからさっさとしてくれ」
「主、そう急かされますな。おい、衛兵、兵卒の槍を持ってきてくれぬか?」
星は陣幕の外にいる衛兵に声を掛け槍を持ってこさせました。
「な、正宗様、何をなされようというのです!」
冥琳は狼狽して私に聞いてきました。
「何って・・・・・・、主を槍で刺すのです」
私に代わり星が応えました。
「星、お前何を言っているのか分かっているのか!」
冥琳は星の言葉に激昂しました。
「冥琳、黙って見ていてくれ。それでお前も納得すると思う」
「何を言われるのです・・・・・・。そのようなことをすれば怪我をするに決まっております」
「私が怪我すると承知して、星に槍で刺させると思っているのか。私はそこまで愚かではないぞ。言うより見た方が早いから言っている」
私が真剣な表情で冥琳の目を真っ直ぐに捉えて告げると、冥琳は何も言わず頷きました。
「では、主、準備は宜しいですかな?」
星は衛兵から槍を受け取り、私に尋ねてきました。
「やってくれ」
「それでは主、行きますぞ!」
星は槍を構え呼吸を整えるために瞑想をし呼吸を整え始め、瞳を見開くとともに槍を力一杯に一突きしてきました。
冥琳は目を瞑らず刮目し、その光景を見ていましたが、槍が私の体を突いた時点で驚愕の表情になりました。
星の放った槍の穂先は潰れて使い物にならなくなっています。
「な、どうゆうこです・・・・・・」
冥琳は私の元に駆け寄って来ると私の体を弄ってきました。
私の服は槍で突かれた所為で胸の辺りが破れています。
その部分を何度も何度も冥琳に触られ、その後、星の持つ槍を奪い取り、穂先を確認しました。
「ま、正宗様、ご説明願えませんか?」
冥琳は意味不明だと言わんばかりの表情で私を見ていました。
「私は気を使って体を鋼鉄以上の堅さにすることができる。だから、崖から飛び降りようと死なないし、矢・槍・剣だろうと私の体を傷つけることはできない。ただし、三刻という時間の制限はあるがな。しかし、三刻の間、私は無敵に等しい」
「なんと・・・・・・、正宗様は人外の如きお力をお持ちでいらっしゃるのか・・・・・・。正宗様ほどの気の使い手はこの大陸広しといえば二人とておりませんでしょう」
冥琳は驚嘆して、私の前に両膝をつき感服しているよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ