第二十一話 人狼その二
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「何か焦ったら人間みたいだけれど」
「それも仕方ありません」
老人は子供を宥めるようにして告げてきた。
「何しろ本当に待ちましたから」
「そうだな。封印を解かれたと聞いて」
男もまた言うのだった。
「あれから随分と経った」
「それでやっとだから」
女が続く。
「私も同じ思いだわ」
「しかし今ここに来る」
青年はそのこと自体を言うのであった。
「ここにな」
「これで七人だ」
紳士が言うのは数であった。
「あと五人か」
「そうね。五人ね」
女が今の紳士の言葉に応えて頷いてきた。
「残るは五人ね」
「あとの者達も間も無く封印から解き放たれるか」
「そうなることを祈ります」
これは老人の言葉である。
「是非共」
「そのうえで髑髏天使と戦う」
男はそのことを考えていた。
「我等十二人と今の髑髏天使は戦うことになるのか」
「なればいいね」
子供の言葉はそれを期待するものであった。
「それが楽しみなんだし、僕等にとっては」
「その通りだ。さて」
青年は己の言葉を途中で止めてきた。
「来るな。いよいよだ」
「はい」
老人は今度は彼の今の言葉に対して頷いてみせた。
「来られましたよ、遂に」
「やっとだけれど」
「何か随分と変わったな」
「そうね」
子供と男、それに女が言った。見れば目の前に金髪でサングラスをかけた白人の男がやって来た。黒いブルゾンにレザーパンツ、それに同じく黒のブーツといったいで立ちである。その格好で彼等の前に姿を現わしてきたのであった。
「久し振りだな」
「全くです」
老人が彼等を代表する形で彼の言葉に応えた。
「ようやく再会することができましたね」
「そうだな。しかし」
ここでこのロッカー風の男は彼等を見回してまた言ってきた。
「皆あまり変わっていないな。いや、全然か」
「あんたが変わり過ぎたのよ」
女は表情を変えずにこのロッカーに述べた。
「それも随分と。まるで別人じゃない」
「別人か」
ロッカーはそれを言われてかえって得意そうであった。まるでそう呼ばれることを期待していて実際に言われて楽しいかのようである。
「そうかもな。俺は変わったからな」
「確か以前は騎士の姿だったか」
「そうだったな」
今度は青年の言葉に応えてみせた。
「それが今ではこの姿だからな。変われば変わるものだ」
「それはイギリスで流行っている姿か」
紳士が問うのはこのことだった。
「だからその姿なのか」
「少しばかり古い格好かも知れないがそうだ」
こう紳士に答えるロッカーだった。
「このスタイルがロンドンでは流行っている」
「ふうん、そうなんだ」
子供はそれを聞いてまずは納得したような声を出してみせた。
「まあいいん
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