第二十話 人怪その二十七
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「そして神もだ。一人ではない」
「貴様もいればあの魔神達もいる」
牧村はこのことも実感できたのだった。それも神については宗教が一つではないということよりも強く実感してもいたのである。
「そういうことか」
「無論他にも存在している」
「他にもか」
「私が本来いる世界にもな」
死神はこれまでになく己のことを牧村に対して話していた。そしてそれを止めることなくさらに話を続けていくのであった。さらに、であった。
「多くの神がいる」
「そこが貴様のいる神の世界というのだな」
「他にも神の世界はある」
他にもあるというのである。
「そこには他の神々がまた存在している」
「神の世界も一つではないのか」
「ありとあらゆるものが一つではないのだ」
死神の今の言葉は少し聞いただけでは到底わかり得ないものであった。しかし髑髏天使は彼が何を言いたく何を言いたいのかわかっていた。
そしてそのうえで。死神の話をさらに聞くのであった。
「世界とは縦横に複雑に入り組み絡み合い無数の世界が存在するものだ」
「無数にか」
「その通りだ。この人の世界もまた同じだ」
やはり異なる世界の住人の言葉であった。
「この世界のもな」
「わかった。世界もまた一つではないのか」
「私はその重なり合っている世界の一つの住人だ」
それが彼だというのである。
「神々と呼ばれる住人の一人なのだ」
「わかった。それでは神の一人よ」
「うむ」
「今は貴様の本来の世界に帰るのだな」
死神の話をここまで聞いたうえでの言葉であった。
「俺は俺がいるべきこの世界に留まり続ける」
「このまま留まり続けられるのならその限り留まることだ」
死神はまた意味深い言葉を述べてきた。
「その限りな」
「どういうことだ、それは」
「人は人の世界に生きるもの」
死神はまた彼に言ってきた。
「そういうことだ」
「今の言葉はわからないが」
牧村は目を警戒するように細めさせて死神に言葉を返した。
「今のは。どういうことだ」
「いずれわかるかも知れない」
しかし死神は今は答えようともしなかった。これ以上言おうともしないのだった。
「貴様もな。人である限りな」
「俺は人間だ」
これが牧村の今の彼自身への認識であった。
「それ以外の何だというのだ」
「同時に髑髏天使でもある」
死神はまた答えることなくこう返した。
「それを忘れるな」
「覚えておこう」
一応その言葉を受けはする牧村だった。
「だが」
「理解することはないというのだな」
「その通りだ。今の貴様の言葉はわからん」
やはりそうなのだった。今の牧村には。
「だが。やがてわかるかも知れないな」
「それではその時に考えることだ」
死神もそれ以上は彼に言わな
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