SAO編
七話 迷いの森と小さな勇者
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だろう。恐らくあの子は、死への恐怖を諸に味わうのは初めてなのだ。
『くそっ、この距離じゃ間に合わん!』
此処からでは投擲スキルを使っても、後が続かない。
クリティカルにならない事を祈るしかない事を歯がゆく思いながらも、何とか次の攻撃には割り込もうと走り始めようとする。
が、この瞬間信じられない事が起こった。
少女の側に浮かんでいたフェザーリドラが、突如ドランクエイブと少女の間に割り込み、主人を護ったのである。
『なっ!?』
地面にたたきつけられたリドラは、そのままポリゴンを撒き散らして消滅する。
その光景を見ながら、リョウの頭には『ありえない』という言葉が浮かんでいた。
これがドラマか何かだと言うならこの展開も有り得るかもしれないが、この世界において、あのリドラのような[使い魔モンスター」と呼ばれるモンスター達のAIには、残念ながら主人を護るどころか自らモンスターに襲いかかると言う行動パターンすら存在しない。
……はずなのだ。
だが、さっきのあのリドラの動きは、どう見ても自らの意思で主人を護るための行動を起したようにしか見えなかった。
それは偶然か、それとも……
そのまま思考の海に潜ろうとしたが、そうもいかなくなる。
へたり込んでいた少女が、三体のエイブの群に対して猛然と襲いかかり始めたからだ。
「わああああああ!!」
此処まで聞こえるほどの叫び声。
ただしその動きは勇猛ではなく蛮勇。
明らかに、自分へのダメージを警戒していない無茶苦茶な攻め方だ。
完全に怒りで我を見失っている。
彼女にとってあのリドラがそれほどまでに大事な存在であったと、その思いの表れだろうが、あのままでは全てのエイブを倒す前に彼女自身が倒れるだろう。
今度こそリョウは全力で走り出す。
自分の此処までの苦労と、あの小さな勇者の行動を無駄にしないために。
────
今、シリカは自分の中で何かが暴走しているのを感じていた。
家族同然だったピナの身体がポリゴンとなって消滅し、小さな水色の羽が地面に落ちたのを見た瞬間、頭の中で何かが切れた。
頭の中に真っ先に浮かんだのは自分への怒り。
小さな喧嘩でへそを曲げて、自分一人で森を突破できると思いあがった挙句、たった一撃受けただけで死への恐怖とパニックから動けなくなり、結果最も大切に思っていた仔を殺した、自分への怒り。
その怒りをたたきつけるようにピナを殺したエイブを、ダメージも無視して徹底的に狙う。
そして、その一体のエイブが懐に潜られた所に渾身の一撃を受け、クリティカルヒットのエフェクトと共に消滅しても、シリカは止まらなかった。
今度は振り返ると残りの二体に向かって突撃する。既にHPは赤の危険域、即ち命の危険を知
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