第二十話 人怪その九
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「わしもあの漫画はよいと思うぞ」
「そうだな。あれから色々と料理も作った」
「牧村さんって自分でも料理作るしね」
「それがかなり意外だけれど」
「意外でも作るものは作る」
こう妖怪達に返す牧村だった。
「そしてそれはかなり好きだ」
「やっぱり意外だよ」
「そうそう」
そして妖怪達のこの見方も変わらなかった。
「それにしても美味しいのかな、牧村さんの作ったものって」
「どうかな」
「自信はある」
本人の言葉である。
「何なら今度ケーキでも作ってみせよう」
「えっ、ケーキ!?」
「ケーキ作ってくれるんだ」
妖怪達はケーキと聞いて一斉に嬉しそうな声をあげたのであった。
「いやあ、それだったら是非」
「作って作って」
「もうたっぷりと」
「人参のケーキにするか」
彼が考えているケーキはそれであった。
「ここはな」
「人参のケーキだね」
「あれ僕大好きなんだよね」
「僕も」
「人参のケーキもいけるのか」
牧村はその妖怪達の言葉を聞いて少し意外な顔になるのだった。
「そちらもか」
「あれっ、それおかしい?」
「普通だよね」
「ねえ」
だが妖怪達はそれを当然だと考えていた。その証拠に牧村の今の言葉を受けても顔を見合わせてそのうえで話をするのであった。
「人参のケーキってね」
「僕達よく食べるよ」
「そりゃ苺やチョコレートよりは食べることは少ないけれど」
それでもだというのだった。
「やっぱり人参も食べるよね」
「甘いから美味しいよね」
「そうそう」
「確かに人参は甘い」
牧村は言った。
「しかも身体にもいい」
「そうなんだよね」
首なし馬が宙を漂いながら牧村の言葉に応える。
「人参って凄く身体にいいんだよ」
「それはそうだけれどさ」
「君、食べてもいいんだ」
他の妖怪達はその首なし馬に対して突っ込みを入れた。
「胴体ないのに」
「食べたものは何処に行くの?」
「何処にって胴体にちゃんと行くよ」
彼は当然と言わんばかりに仲間達に対して答える。答えるその間もその首は宙を漂い続けている。丁度彼の周りに漂っている人魂達と同じように。
「ちゃんとね」
「いや、胴体ないじゃない」
「それ何処にあるんだよ」
彼等の突っ込みももっともなことであった。
「胴体ないのに胴体にちゃんと行くって」
「矛盾してるじゃない」
「ああ、それはのう」
今度は一つ目で顔中濃い髭だらけの鬼が出て来た。頭の左右にそれぞれ一本ずつ、合計二本小さな角が生えている。その鬼が出て来たのだ。
「わしが説明しようか」
「あっ、夜行さん」
「夜行さん知ってるんですか。こいつの胴体のこと」
「左様。何しろわしが乗っておるからのう」
この鬼、夜行さんはまた笑いな
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