第十九話 人狼その二十二
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「私はその前に闘いをさせた。それだけだ」
「そうか。では次は私だな」
その貴族の身なりの男は悠然と彼等の方に歩み寄りながら述べるのだった。
「次はな」
「貴様は魔物ではないな」
髑髏天使はその貴族にを見てまずこう告げた。
「それより上位か。となればだ」
「ほう、わかったのだな」
貴族もまた彼の言葉を受けて楽しそうな声をあげてみせてきた。
「やはり僅かな時間で力天使になったわけではないな」
「褒めても何も出ないことは察していると思うが」
「それはその通りだ。しかし貴様のことはわかった」
だが貴族はこうも言うのであった。
「貴様のことはな」
「というとどうするのだ?」
「貴様を倒す」
髑髏天使として構えを取ってきての言葉であった。
「来るのならばな。今ここでな」
「それは安心するのだ」
しかし貴族もまた今は悠然と笑うだけで何もしようとはしないのだった。あえて悠然とそこにいるだけで全く動こうとはしないのである。
「私もまた貴様とは今は闘わない」
「そうなのか」
「ただ。私のことは言っておこう」
そしてこう告げてきた。
「私は十二魔神の一人ワーウルフ」
「人狼か」
その名前をスオレートに和訳したものであった。
「それが貴様か」
「そうだ。これが私の名だ」
こう髑髏天使に対して告げるのであった。
「私のな」
「その名は覚えておこう」
髑髏天使はその言葉をそのまま受けてみせた。
「今ここでな」
「覚えておくことだ。それではだ」
名乗りを終えるとだった。貴族はもう去ろうとしてきた。
「私は今はこれで帰らせてもらおう」
「待つのだ」
踵を返そうとした彼に紳士が声をかけてきた。
「我等が今何処に集っているかは知っていないな」
「ふむ。そうだったな」
紳士の言葉に顔を向けて答えた。
「そういえばそうだったな」
「案内する。ついて来るのだ」
そしてこうも彼に言うのであった。
「私にな。いいな」
「わかった。ではそうさせてもらおう」
「髑髏天使よ」
紳士が髑髏天使に告げてみせてきた。
「また会おう。次も楽しみにしていることだ」
「私からも言っておく」
貴族からも告げてきたのだった。
「貴様とはすぐにまた会う。楽しみにしていることだな」
「また来るというのだな」
「その通りだ。ディナーでも用意しておく」
最後の言葉を告げてハイウェイを後にするのだった。彼等が消えたのを見届けた髑髏天使は牧村の姿に戻った。そうしてそのうえで彼のその側にサイドカーを持って来てそれに乗る。今の闘いはこれで終わったのであった。
第十九話 完
2009・6・23
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