第十九話 人狼その二十一
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「それだけで力になる場合もある」
「この水がか」
「水は変わるもの」
次の言葉はこうであった。
「今それを見せてやろう」
そうして今その氷を再び出す。するとその氷は忽ちのうちに魔物を凍らしてきたのだった。
「凍っただと!?」
「貴様の身体はそう簡単には凍らない」
髑髏天使は先程の闘いでそれはわかっていたのだ。
「しかしだ。水をかければどうか」
「くっ、そういうことか」
ここでようやく魔物も髑髏天使の考えがわかったのだった。遅まきながらではあったが。
「これで我をか」
「そうだ。そして」
再び両手の剣を構える。そのうえで右手の剣を前に出す。
そこから水の帯を出した。それは一直線に突き進み魔物を貫こうとしてきた。魔物はそれを避けることができなかった。氷が邪魔で動けなかったのだ。
水はその凄まじい衝撃で魔物を貫いた。剣も効くことがなかったが身体を凍らさせられた今ではそれは可能だった。これで勝負は決したのだった。
「氷と水か」
「炎と比べると強くは見えない」
髑髏天使は技を放ち終えてから述べた。
「だが。使い方を考えればだ」
「こうした効果があるということか」
「そういうことだ。確かに貴様の守りは強い」
これまでの攻撃が効果がないことからの言葉だ。
「しかしだ。こうしたやり方ならばだ」
「それも効果があるということか」
「その通りだ。俺の勝利だな」
髑髏天使は魔物に対して告げた。
「そういうことだな」
「その通りだ。見事だ」
魔物はこのことも認めるのだった。髑髏天使の勝利もだ。
「見事だと告げておこう」
言うそのそばからだった。身体を青白い炎が包み込んでいく。その炎こそがまだらミイラの最期が近付いてきている何よりの証であった。
「どうやら貴様がまことに強いのは知恵故だな」
「そう思っているのだが」
「現実だ。では髑髏天使よ」
いよいよその全身を青白い炎に包まれた。
「さらばだ」
こう言って姿を消すのだった。魔物は消え去った。髑髏天使はそれを見届けてから今度は紳士に対してその顔を向けるのであった。
「それではだ。次はだ」
「何度も言うがそれはまだ先だ」
やはりそれは拒む彼であった。
「まだな」
「ではどうするというのだ」
「去らせてもらう」
彼は言った。
「これでな」
「俺が貴様と闘うまでに至っていないからだな」
「何度も言うがその通りだ」
やはりそうであった。実際に紳士の気配は戦いに向かうものではなかった。
「今は去らせてもらう」
「そうか。わかった」
髑髏天使も彼の言葉を受けて今は動かなかった。
「それではな」
「まだらミイラの仇は何時か取らせてもらう」
穏やかな言葉だがそれでもそこには怒りが見られた。
「その
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