第十九話 人狼その十五
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「牧村さんはその辺りどうなの?」
「髑髏天使にもなったけれど」
「一概には言えない」
こう妖怪達に返す。
「一概にはな」
「そうなんだ」
「髑髏天使になったのはそれとはまた別問題なんだ」
「妖怪にも魔物にも色々な者がいる」
これは髑髏天使だからこそわかることであった。それもまた話すのである。
「そして人間にもだ」
「そういう無茶苦茶なのには会ってないんだ」
「博士がであったみたいなのは」
「そこまでの馬鹿にはな」
牧村も流石にそこまでの相手には会っていないのだった。
「見たことも聞いたこともない」
「あれはまあ何じゃな」
博士にしろ首を捻っていた。実際に彼が会って知っている相手だというのにだ。しかも記憶に残っているというのにそれをするのであった。
「稀少種じゃな」
「稀少か」
「あんな奴がそうそういては世の中は成り立たん」
ここまで言うのであった。
「到底な」
「到底か」
「滅多におらんから驚くべきことなのじゃよ」
博士の言葉はまさにその通りだった。そうした相手だから話に出るのだ。よくいるような人間ならば最初から誰も話にしたりはしないものだ。
「そこまでの人間はのう」
「そういうことだな。やはりな」
「人間には常識があるのじゃよ」
「当然僕達にもそれはあるよ」
「常識はね」
彼等もそれは話していくのだった。妖怪達にしろ妖怪の世界としての常識が存在しているのである。それがないとやはり付き合えないのである。
「それって人間とはあんまり変わらないよ」
「大抵はね」
「俺もそれは同じだ」
また言う牧村だった。
「常識のある相手とだけしか会っていない」
「けれど常識のない相手もいたよね、やっぱり」
「世の中そういうのも幾らでもいるよ」
「それもやはり限度がある」
限度というものも話に出るのだった。この限度を超えているかどうか、そうしてどの程度であるかによって問題は大きく違ってくるものだ。
「そこまで常識のない相手は聞くのもはじめてだ」
「まあそうじゃな」
言うまでもなく博士が知っているその彼である。
「会社の帳簿を他社の人間に見せるのじゃからな」
「それは確実に懲戒免職だ」
牧村は即答した。
「何故そんなことをしたのだ?」
「簡単じゃ。常識がないからじゃ」
だからなのだった。やはり。
「その他にも会社の人間の今で言う個人情報の細かい部分まで普通に他人に教えたりな」
「それはその人に許可を得ていたのか?」
「いいや、無論そんなことはない」
やはりなのだった。これは牧村も妖怪達も話を聞いて予想はしていた。
「勿論無断じゃ」
「その人は滅茶苦茶怒っただろうね」
「っていうか今それやったら大問題だよ」
「で、仕事は勝手に暴走して潰すしの
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