第十九話 人狼その九
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「私はガラスの仮面とか川原泉先生の漫画が大好きですよ」
「あとパタリロもか」
「あれっ、何でわかったんですか?」
「花とゆめだからな」
だからだと答える牧村だった。
「ガラスの仮面に川原泉先生といえばな」
「そうですよ。花とゆめです」
ろく子もにこりと笑ってそれを認めてきた。
「私あれが好きなんですよね」
「私はりぼん」
「わしはなかよしじゃ」
雪女と砂かけ婆も言ってきた。
「それが好きなんだけれどね」
「驚いたかのう」
「驚いたのは事実だ」
牧村もそれを認めてきた。
「まさかな。漫画も熱心に読んでいるとはな」
「別冊フレンドやちゃおも好きですよ」
またここでろく子が彼に言ってきたのだった。
「これでも漫画好きですから」
「妖怪も漫画を読むか」
「それがやっとわかってくれたみたいだね」
「何より何より」
妖怪達は牧村のその言葉を聞いて述べたのだった。
「しかし。納得できないものはまだあるがな」
「そんなの慣れたら終わりだから」
「気にしない気にしない」
いつもの調子で牧村にかけた言葉だった。
「全然ね。問題ないから」
「さて、そろそろかな」
妖怪達は林檎や葡萄のジュースを飲んでいた。そうしてそのうえで言い合うのだった。
「博士が戻って来るのって」
「そうだね。そろそろだね」
「じゃあもうすぐだからね」
そして牧村にも声をかけるのだった。
「楽しみに待っていてよ」
「漫画をね」
「漫画はいいが」
それについてはどうでもいい牧村だった。
「俺はな」
「けれど漫画読むよね、牧村さんも」
「さっき僕達が出したタイトル全部知ってたし」
「漫画は好きだ」
牧村もそれは言う。
「読むのも買うのもな」
「まあ嫌いな人はあまりいないよね」
「実際にね。妖怪もね」
彼等は話すのだった。
「嫌いなのはいないよね」
「本とか全く読まない人は例外としてね」
それは例外だというのだった。中にはそんな人間もいる。しかしであった。牧村はそうした人間ではなく彼はやはり漫画を読むのだった。
「僕達だってね。読むしね」
「あればあるだけね」
「漫画は読んで減るものではない」
牧村はまた言った。
「だからだ。好きなだけ読めばいい」
「そうそう。博士だって言ってるしね」
「あっ、帰って来たよ」
ここで、であった。その博士が戻って来た。見ればにこにことしてその手に漫画雑誌を数冊抱えている。如何にも今から読もうという顔であった。
しかし牧村の姿を認めて。また別の笑顔になって彼に言ってきたのだった。
「ほう、来ておったのか」
「少し待たせてもらっていた」
牧村はその博士の顔を向けて述べた。姿勢はいつものように壁に背中を当ててそのうえで立って彼に顔
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