第十九話 人狼その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「いや、六十年だったか?」
「そういえばそこまでいってたっけ」
「終戦直後からだしね」
ここでまた話す妖怪達だった。
「あの御二人もね」
「僕達との付き合いも百年いったかな」
「本当にあの博士は幾つだ」
今度は実際の年齢についても疑問に思った牧村だった。
「相当な長生きだが」
「さあ。多分百歳は超えてるけれど」
「どれだけかはね。僕達にもわからないし」
「やはり何処か人間離れしているな」
牧村でさえ博士についてはこう思うしかないのだった。
「仙人かそうしたものみたいだな」
「仙人ね、確かにね」
「外見もそんな感じだしね」
妖怪達も仙人という表現には賛成するのだった。
「僕達に近くなってるかもね」
「付き合い深いしねえ」
「妖怪に近いのか」
牧村はそれを聞いてまたその表情を動かしたのだった。
「あの博士は」
「こう言っても納得できるよね」
「博士に関しては」
「確かにな」
そしてその通りであった。牧村も妖怪達のその言葉に頷く。
「そう言われても。納得できる」
「だからさ。博士はかなり特別な人だから」
「百歳超えても気は若いんだよ」
「いいことではあるがな」
牧村はそれはいいとするのだった。
「気が若いのはな」
「そうでしょ?だからさ」
「漫画を読むのもいいことなんだよ」
「悪いとは一つも言っていないが」
それは一つも言っていない牧村だった。
「別にな」
「あっ、そういえばそうか」
「牧村さんそんなことは一つも言ってないよね」
「驚いただけだ」
それだけだというのだった。彼は。
「百歳を超えて尚だからな」
「僕達は何百歳も生きていてそれでも読んでるけれどね」
「そうそう」
また自分達のことを話す妖怪達だった。
「ブラックジャックも大好きだったし」
「嗚呼!花の応援団もよかったよね」
「あとサイボーグ009もね」
「随分古い漫画だな」
牧村は彼等がここで挙げた漫画のタイトルを聞いて述べた。
「そんなに古くから読んでいるのか」
「戦前の漫画も大好きだったよ。冒険ダン吉とかね」
「のらくろもね」
やはりかなり古い漫画だった。なおのらくろの作者の妻は評論家であり保守論壇の領袖の一人であった小林秀雄の妹である。
「よかったよね」
「最近じゃマガジンとかサンデーがいいかな」
「ヤンマガとかヤンジャンもね」
「あと月刊だとチェンピオンレッド」
今の漫画もかなり読んでいる妖怪達だった。
「どれも面白いよね」
「ストップ!兄ちゃんとかいがぐり君もよかったけれどね」
またしても随分と古い漫画のことが話に出る。
「デビルマンとかもね」
「アストロ球団とかリングにかけろも迫力あったよね」
「本当に随分読んでるな」
牧村は彼
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ