第十九話 人狼その七
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「牧村君ってスポーツしてるようには見えない時があるわよ、そんな言葉を出すから」
「だからスポーツをしている」
スポーツはしているというのである。
「スポーツはな」
「スポーツねえ」
「スパルタのスポーツをしている」
彼がしているのはこうした意味でのスポーツなのだった。
「俺はな」
「話が今一つ以上にわからないけれど」
しかしそれはどうしても若奈にはわからないことだった。
「まあいいわ。とりあえずスポーツドリンク用意しておくわね」
「済まない」
「それとタオルとね」
「とりあえず今日は汗をかく」
練習を続けるということだった。
「このままな」
「頑張ってね、無理をしない程度に」
こんな話をしてそのうえで練習を続ける牧村とそのサポートをする若奈だった。二人はその日は練習に専念した。そしてその次の日牧村はまた博士の研究室にいた。しかし彼が部屋に入った時博士はいなかった。彼は博士がいないのを見てまずはこう呟いた。
「扉のあれは在室になっていたが」
「ああ、すぐに戻るからだよ」
「だから博士はそうしておいたんだよ」
「すぐにか」
妖怪達の言葉を聞いて述べたのだった。
「ここに戻って来るのか」
「ただ本を買いに行っただけだからね」
「大学の本屋さんにね」
「本!?」
本と聞いて思わず声をあげたのだった。
「普通の本を買いにか」
「そうだよ、漫画ね」
「週刊誌をね」
「漫画をか」
博士が漫画を読むと聞いてその顔をさらにいぶかしむものにさせた牧村だった。
「博士は漫画を読むのか」
「あれっ、知らなかったの?」
「博士漫画大好きだよ」
「百歳を超えてか」
それで漫画を読むということが想像できなかったのだ。牧村の考えでは漫画は若い者が読むものであるという意識がある。だからであった。
「漫画を読むのか。しかも週刊のか」
「そうだよ。それも少年誌をね」
「青年向けのも読むけれど」
ここでまた話す妖怪達だった。
「あと少女漫画も読むし」
「色々と読むんだよ」
「意外と若いのだな」
牧村は博士のその趣味を知って思わず言った。
「その気は」
「他にもテレビゲーム好きだしね」
「あとラジコンとかもね」
「趣味も若いな」
テレビゲームやラジコンと聞いてまたしても驚く牧村だった。
「それもかなり」
「そうだよ、だから長生きするんだよ」
「そうやって気が若いからね」
妖怪達はだからこそと牧村に話すのだった。
「あと二十年は生きられるかな」
「三十年はいけそうだよ」
「三十年か」
牧村はその三十年という言葉を聞いてまた言うのだった。
「そこまで生きれば最早記録だな」
「あの調子だといけるよ」
「奥さんもね」
「奥さんとも確か金婚式を終わってい
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