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髑髏天使
第十九話 人狼その六
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「その為にどちらもはじめたからな」
「考えてのことだったのね、フェシングもテニスもしたの」
「その通りだ。それが生きてきているな」
「最近じゃどっちも大学の誰にも負けなくなってきてるんじゃないの?」
 やはり若奈はスポーツの視点から話していた。やはり彼がフェシングとテニスをする真の目的は知らない。そうして知らないまま話すのだった。
「はじめたばかりなのに。やっぱり練習が半端じゃないからね」
「そうかもな」
 しかし髑髏天使である彼にとってはそれはどうでもいいことだった。素っ気無い言葉にそれが出ていた。だがこれも若奈にはわからない。
「それはな」
「どう?試合とか出てみる?」
 やはりそのスポーツの視点から話す若奈だった。
「試合。どうする?」
「出られるのか?」
「出られるわよ」
 今の牧村の言葉には何を言っているの、という感じの若奈だった。
「当たり前じゃない。クラブ活動なんだから」
「そういえばそうか」
「そうよ。先輩の人達にもお話してね」
「だったら出てみるか」
 返事はどうにも今二つ以上にどうでもいい感じだった。実際に彼にとってはそうなのだがこれも若奈にはわからないことだった。知らないが為にである。
「試合にも」
「絶対にいいわ。試合に出てこそだからね」
 若奈はこのことをここぞとばかりに彼に勧めてきた。
「やっぱりね。じゃあ私から先輩達に言っておくわね」
「そっちでか」
「私フェシング部とテニス部のマネージャーだし」
「それもあってか」
「そうよ。マネージャーとしても推薦してあげるから」
 私情だけではなく公でもあるというがこれはかなり言い訳めいていた。
「楽しみに待っていてね」
「そうさせてもらうか。それにしてもだ」
「どうしたの?今度は」
「右手だけでは駄目だな」
 不意にこんなことを言ってきたのである。
「腕を変えてみるか」
「変えるの」
「こうする」
 若奈に応えながらだった。右手に持っていたその剣を左手に持ち替えてみせた。そうしてそのうえで今度は左手で素振りをはじめたのだった。
「左手でな」
「あれっ、右手だけじゃないの?」
 左手に持ち替えてそのうえでまた素振りをはじめた彼に対して話すのだった。
「左手でも振るわね、そういえば最近」
「右だけじゃ駄目だからな」
「テニスでもそうよね」
「右だけじゃなくて左もだ」
 彼は言うのだった。
「どちらもできないとな。駄目だ」
「駄目ってどういうこと?」
 若奈は彼のことがわからず話した。
「だから駄目って。剣道じゃないから二刀流はできないわよ」
「それはわかっている」
「じゃあ何でなの?左手でも振るの」
 怪訝な顔でまた彼に問うたのだった。
「どうしてなのよ、本当に」
「その方がいいか
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