第十九話 人狼その四
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「それこそ自分の身体に近いだけの大きさがあった」
「そんなに大きかったの」
「その剣で相手を斬るというより叩く」
そしてこう話すのだった。
「馬上から叩き落すといった方がいいな」
「何かこのサーベルとは使い方が全然違うのね」
「武器の使い方は時代によって違う」
今度の言葉はこれであった。
「だからだ。そういう使い方もある」
「剣っていうよりあれよね」
若奈は彼の話を聞いて首を右に少し捻って述べた。
「棒とかそんな感じよね」
「棒か」
「そう、棍棒」
これだと言うのである。
「鉄のね。それじゃあ叩くのと一緒じゃない」
「その通りだ。そして馬から叩き落す」
あくまでその為だったのである。当時の欧州の戦いでは相手を馬から落としてそのうえで捕虜にするのが狙いだった。だからそれでよかったのだ。
「それで行く」
「成程ね。それでそんな剣なのね」
「そういうことだ。だがそれが変わって」
「今のフェシングのレイピアとかになるのね」
「レイピアは馬上では使えないな」
「それには無理があるわよね」
若奈はここでそのレイピアを脳裏に浮かべる。それは確かに馬上で扱うにはあまりにも細くとても無理だと結論を出すのだった。
「やっぱり」
「そうだ。俺はこのサーベルを使う」
「それが一番いいのね」
「俺にはな」
ここでもあえて髑髏天使のことは隠していた。
「これが一番いい。確かにな」
「そうみたいね。実際に剣の振りが一日ごとに変わってるわ」
「一日ごとにか」
「ええ、もう本当にね」
今実際に彼のその剣の振りを見ての言葉だった。
「変わってるわよ。よくね」
「そうか。ならいい」
「やっぱりあれよね。一日で何千回も振ってるのよね」
「千回は最低でも振っている」
これは実際にやっていることだから言えることだった。
「テニスの方もな」
「凄いわね。そこまでできるなんて」
若奈はあらためて彼のその鍛錬を知って言葉を出すのだった。
「毎日毎日。それで走って筋肉トレーニングもして部活も出てだからね」
「身体を動かす理由はだ」
「スポーツだから?」
「スポーツの原点に帰っているつもりだ」
あえてこう言ったのである。スポーツに関して。
「その原点にな」
「ふうん、とにかく燃えてるのね」
若奈はこういうふうに捉えたのだった。やはりよくわからずに。
「フェシングとテニスに」
「そんなところだ。この二つはやっていく」
「いいんじゃない?身体つきも半端なものじゃなくなってきたし」
それはその通りだった。牧村の身体には脂肪がなくなってきていた。全身動く為の、闘う為の筋肉になってきていた。まさに戦士の身体になってきていたのだ。
「それでね」
「今日はもう講義はない」
牧村は
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