第十九話 人狼その三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「その通りよ。だから見させてもらうわ」
「そうか」
紳士は女のその言葉を聞いた。そうしてそのうえで他の者に対して問うのだった。
「それでは他の者はどうだ?」
「俺も狐と同じだ」
「俺もだ」
男と青年が彼の今の問いに答えた。
「まだ魔物を呼んではいない」
「既に連れて来た魔物は出してしまった」
やはりこう答えるのだった。彼等も。
「僕もね。今はね」
「貴殿もなのだな」
「うん。僕もね、今は誰も呼んでいないよ」
子供も同じなのだった。彼も今は魔物を用意していなかった。
「ピクチョンは残念だったね」
「では。貴殿は」
彼は最後に老人に対して問うた。彼等の中で中心になっていると言ってもいい彼に対してである。最後に彼に対して問うたのである。
「どうなのだ?行くのか?」
「私は遠慮させて頂きます」
老人は穏やかな笑みと共に答えた。
「今回は」
「そうか。では私だけで髑髏天使の相手させてもらうか」
「ええ。楽しんできたらいいわ」
「ここで見させてもらうから」
他の魔神達は口々に彼に告げる。
「そういうことでな」
「楽しんで来るといい」
「ではそうさせてもらおう」
彼は悠然と動いてそのうえでその場を後にする。そのマントが暗い海の中でも風になびくように動いていた。まるで風の中にいるように。
「ではな」
「はい、それではお楽しみ下さい」
老人がその彼に声をかけた。
「心ゆくまで」
「うむ」
こうして紳士はそのまま深海から姿を消す。深海の中にいる異形の魚達は彼には近寄らない。それはまるで恐れを感じ避けているようであった。
牧村は大学の講義に出ていた。ノートを開き右手にペンを持ちテキストと講義をする教授の話を交互に見聞きしていた。教室は広く段になっており三つの席が一つになったその席のうちの一つに座っている。彼の横には若奈がいて彼女も同じように講義を受けていた。
「まずはです」
教授がここでマイクで話をしていた。
「この時代の欧州の騎士の特徴としましては」
「騎士か」
牧村は騎士と聞いてふと言葉を出したのだった。
「騎士がどうだというのだ。それで」
「主従関係は契約によりものであり」
「契約か」
「確か双務的だったわよね」
若奈も話を聞いていた。そしてここで牧村の横で言うのだった。
「騎士の契約って」
「そうだったな、確か」
牧村はその若奈の言葉に対して述べた。
「日本の主従関係と違ってな」
「そうよね。そこが全然違うのね」
「そしてその倫理観は」
騎士について話されていく。二人は今はその騎士の話を聞いているだけだった。そして講義が終わるとすぐに体育館に入り。そこでフェシングの素振りをするのだった。
「そういえば」
「何だ?」
黒いジャ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ