第十九話 人狼その二
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「席がな」
「席?そうだな」
青年のその言葉に紳士もふと声を出してきた。
「我等の席がな」
「我等は本来十三柱からなる」
青年は紳士に応える形でまた言ってきた。
「しかし我等十二柱は最初から今まで存在してきたがだ」
「最後の一柱だけはね」
女も目を光らせたうえで言葉を出した。
「出て来なかったわね」
「そうですね。一柱だけはです」
老人も言った。
「最初から今まで空席のままです」
「そこに今の髑髏天使が入るかも知れないっていうの?」
子供は周りに問うた。話を出した青年に対してだけではなかった。
「若しかして」
「その可能性はある」
青年が子供に対して答えてきた。
「若しかするとな」
「あの強さで?」
子供は青年の言葉にまた首を傾げさせた。その首が右から左に傾く。そうしてそのうえでまた己の言葉を発していくのだった。
「魔神になるっていうの?」
「今は確かに我等程の強さはない」
青年もまたそのことはわかっているのだった。言葉にもそれを出した。
「だが。これから強くなっていけばだ」
「わからないんだね」
「そして何度も言うが」
また前置きしてきた。
「あの髑髏天使の強くなる速さは尋常ではない。このままでいけば我等に匹敵する強さを身に着けるのも時間の問題だ」
「じゃあ十三柱、最後の魔神になる可能性はあるんだね」
また言う子供だった。
「今の髑髏天使が」
「人でなくなってきているのが確かならな」
青年はあくまで仮定だが言うのだった。
「そうなるかも知れない」
「面白くなるかも知れないわね」
女もまた話すのだった。
「それだったら」
「じゃあさ。これからもどんどん闘っていけばいいんだね」
子供の言葉もうきうきとしたようなものになってきていた。
「僕達は」
「そうですね。それに」
老人は仲間達ににこやかに告げてきた。
「また一人戻ってきますよ」
「誰かしら」
女はそれを聞いて口元を頬笑まさせてきた。
「今度は」
「七人目は誰なのかな」
子供もまたその言葉に笑みを入れてきていた。
「もっと賑やかになって何よりだね」
「誰かまではまだ感じ取れませんが日本に向かってきているのは事実です」
こう答えるのだった。
「それは確かです」
「そうか。なら待たせてもらおう」
男は静かに述べた。
「楽しみにさせてもらってな」
「それではだ」
最後に紳士が言う。
「今度は私が行かせてもらいたい」
「そう、あんたがなのね」
女は彼の言葉を聞いてまず述べた。
「あんたが行くのね」
「駄目なのか?」
「いいえ」
口元だけで笑ってそれは否定したのだった。
「私も今は魔物を出せないし構わないわ」
「何だ、呼んではいないのか」
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