第十八話 力天その二十九
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誰かに言う気もない」
「そう言ってくれると有り難いぜ」
「じゃあ心おきなく吸わせてもらうか」
「誰が煙草を何本吸おうが言うつもりはない」
死神らしい言葉ではあった。
「好きなだけ吸うといい。百本でも二百本でもな」
「そこまで吸う気はねえけれどな」
「百本ってよ。凄いぜ」
煙草は吸うがヘビースモーカーではないらしい。彼等は。
「とりあえず程々に楽しんでるさ」
「そうそう、何事も程々」
「煙草もそうなんだよ」
やはり妙なところで真面目な彼等だった。外見は如何にもチーマーでありそうは見えないが。案外根はしっかりしているようだ。
「じゃあよ。またな」
「欲しくなったら何時でも来な」
最後に廃墟を後にしようとする彼等に告げた言葉だった。牧村は廃墟を出ると死神に一言だけ告げた。
「またな」
「わかった」
死神も短く返した。これで全て終わりだった。後に残ったものは無かった。だが死神はサイドカーに乗り去る牧村の背に変わっていくものも見た。しかしそれについては何も言わなかった。
第十八話 完
2009・6・7
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