第十八話 力天その二十七
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「流石だね。動きも速くなってるし」
「髑髏天使はただ階級があがるだけではない」
髑髏天使自身の言葉である。今は魔物を上から見上げている。頭は今にも天井につきそうだがそこに激突するようなへまな真似はしない。
「その強さもあがるものだ」
「だからだね。今の余裕も」
「その通りだ。俺は負けはしない」
彼は言い切った。
「この闘いもな」
「それはいいけれど僕にも都合があるんだよね」
魔物もまた言う。余裕のある声と共に。
「だからさ。これでさ」
「決めるというのか」
「そうさ。行くよ」
相変わらずその声は笑っていたがそこに鋭さも加わってきていた。
その声と共にまた尾を繰り出してきた。それは下から上へ、一閃させるものであった。そう、何かを叩き落すような。それで髑髏天使を倒すつもりなのは明らかだった。
髑髏天使はその尾をかわすことができた。だが彼は今それをしなかった。ここで勝負を決めるつもりだった。そしてその決める手段も既にあった。
両手の剣をその尾に向けた。そうしてそれで尾を弾き返す。しかもただ弾き返すだけではなかった。
「えっ!?」
「氷はただ使うだけではない」
彼は言った。
「こうした使い方もある。こうな」
尾に氷を送り込む。それは忽ちのうちに魔物を凍らせてしまった。そうして遂に。その全身から青白い炎を出させたのだった。白い氷から青白い炎が次々と起こっていっていた。
「なっ、こんなやり方が!?」
「ある、いや気付いた」
こう返す髑髏天使だった。
「俺もな。今な」
「そう、気付いたんだ」
「氷は伝わっていくものだ。炎が燃えるのに対して」
その属性を意識して使った技なのだった。
「思えば最初もそうだったな」
「だったね。君が力天使になった時に」
魔物もここで気付いたのだった。髑髏天使が力天使になったその時に。全身から氷を出しそれで彼を凍らそうとしたことに。それと同じであるということに。
「同じだったね。迂闊だったよ」
「しかしこれで勝った」
髑髏天使は言った。魔物は最早その全身を炎に包まれようとしていた。その青白い炎に。
「俺の勝ちだ」
「力天使、見事だったよ」
そして魔物の声はその中で笑っていた。今炎の中に消えようとするその中で。
「僕を倒したんだからね。褒めてあげるよ」
「そうか」
「じゃあね。クマゾッツ様」
「うん」
最後に己の主に対して声を向ける。神もまたそれに応える。神妙な顔で。
「これでお別れです。御機嫌よう」
「寝ているといいよ」
子供は穏やかな声で彼に告げるのだった。
「ゆっくりとね」
「はい、それでは」
これが最後の言葉になり彼は青白い炎に包まれ消えていった。後に残ったものは何もなかった。こうして闘いは終わった。髑髏天使
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