第十八話 力天その二十五
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「だからさ。君の血を頂くよ」
「果たしてそう上手くいくか」
「この状況でそんなことが言えるんだ」
魔物は髑髏天使のこの言葉には失笑したような声で返した。
「完全に捕まってるのに。言えるの?」
「俺は諦めが悪い」
だが髑髏天使はまだその言葉を強いままにさせていた。
「これを言い忘れていた」
「諦めが悪くてもさ。それでどうにかなるものじゃないよ」
今まさにその舌が髑髏天使の喉元に迫ろうとしていた。血を吸う為に。
「言っておくけれどね」
「くっ・・・・・・」
「じゃあ頂くよ」
勝利を確信した笑みがそこにあった。
「その血をね」
「勝負ありだね」
子供はにんまりと笑ってまた死神に告げてきた。
「これでね」
「いや、まだだ」
しかし死神はここでもまだこう言うのだった。
「まだだ。闘いは一方が死ぬまでわからない」
「死ぬまでって今死ぬよ」
「あの男はそう簡単には倒されはしない」
言いながら闘いを見る。その髑髏天使の闘いをだ。
「今貴様もそれを見る」
「言うね。じゃあ見せてもらうよ」
子供は死神の言葉も予想も小馬鹿にはしていた。しかしそれでも闘いを見たくて残っているようであった。
「それをね」
「見ているのだな」
死神はまた彼に言う。
「このままな」
「そうさせてもらうよ」
こうは答えるがそれでもだった。子供は己の配下のその魔物の勝利を疑ってはいなかった。そうしてそのうえで闘いを見ていた。
今舌がまさに髑髏天使の喉に突き刺さろうとしていた。魔物は勝利を確信してその目を細めさせ口元をあげていた。しかしこの時だった。
不意に髑髏天使の全身が青く光った。そうしてその全身から何かを発した。それは。
「!?これは」
「まさか!?」
魔物だけでなく子供も声をあげた。
「氷!?そんな」
「髑髏天使が氷だって!?」
魔物の身体の毛が忽ちのうちに凍っていく。全身がこのまま凍らせられてしまうことを恐れた魔物は急いで髑髏天使から身体を離す。そうしてそのうえで間合いを置いてそこから舞いはじめたのだった。
「今の髑髏天使は氷なんて使えない筈なのに」
「それは何故か。もうわかっている」
「わかっているって!?」
魔物は思わずその髑髏天使自身に対して問うた。
「君自身はってことかい!?」
「そうだ。俺はまた強くなった」
こう魔物に対して答えるのだった。
「またな。これが力天使の力か」
「どうやらそうだな」
今度は死神が彼に答えた。
「それが力天使のようだな」
「氷か。いや」
髑髏天使はここでわかったのだった。
「水か。その力か」
「水ねえ」
子供もまた興味深そうに見ていた。そうしてその声で言ってきたのだった。
「それが力天使なんだ」
「神である
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