第十八話 力天その二十二
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「貴様の好きなやり方だな」
「そうだよ。僕って無邪気だからね」
こう子供の声が話すのだった。
「そういうのが好きなんだ」
「趣味がいいとは言えないな」
死神は彼の楽しそうな言葉とは全く正反対に感情を一切見せないものであった。その言葉と共に周囲を見回しているがそれでも彼の姿は見えない。
「貴様らしいがな」
「僕は僕らしく」
しかし子供の言葉の調子は変わらない。
「それがスタイルだからね」
「貴様のスタイルについて話す気はない」
死神はそれについては話そうとはしなかった。
「しかしだ。貴様には用がある」
「そっちの髑髏天使がだね」
「そうだ、俺だ」
今度は牧村が彼に対して言ってきたのだった。
「俺が貴様の魔物の相手をする。それでいいな」
「うん、いいよ」
また子供の楽しそうな声がしてきた。
「僕もそのつもりでここにいるし」
「そして俺とここでその魔物との闘いを見るのか」
「そういうこと。それじゃあ」
その言葉と共にであった。不意に部屋から何かが出て来た。漆黒の中から浮き出てきたのはあの子供だった。闇の中で鬼火に青白く照らされながら不気味に微笑んでいた。
「そろそろはじめる?」
「すぐにでもいいが」
「そうだね。じゃあ僕は出すよ」
彼が言うとすぐだった。その広い部屋の中央に何かが出て来た。それは翼のある空飛ぶ蛇であった。
ただの蛇ではなかった。鹿に似た細長い顔をしており口は尖っている。頭には二本の角がある。そうして身体には毛が生えているのが見える。どうにも変わった姿をしていた。
「ピグチェンっていってね」
子供は相変わらず楽しそうにその魔物の名前を言ってきた。
「血を吸う魔物なんだ」
「血をか」
「そうだよ。今から君のその血を吸うんだ」
こう言うのだった。
「そうして君を倒すんだよ」
「宜しく」
ピグチェンと呼ばれたその魔物は気さくに牧村に対して言ってきた。
「僕が今度の、そして最後の君の相手だよ」
「最後かどうかわからないが今度の相手は貴様か」
牧村はもう最後という言葉には反応をさして見せはしなかった。
「それならばだ」
「早速闘うんだね」
「そうだ。あれこれと話するもりもない」
「話に聞いていたけれど随分と愛想がないね」
ピグチェンはこのことにいささか落胆したようであった。子供の周りを遊ぶようにして飛びながら述べる。その細長い口から赤いこれまた長い舌を出しながら。
「噂以上だよ」
「それが今度の髑髏天使なんだよ」
子供は自分の周りを舞うその魔物に対して告げる。
「僕もそれが不満なんだけれどね」
「もう少し愛想よくしてもいいですよね」
魔物は自身の主に対しても述べた。
「そう思いません?」
「確かにそう思うけれど話を聞か
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