第十八話 力天その二十一
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「では話は聞いた」
「じゃあな。それでな」
「霊安室で怖がってくれよ」
これで終わりだった。牧村達は彼等と別れそのうえで地下に向かった。やはりコンクリートが露わになっているその階段を降りて地下に向かう。暗闇の中だったが死神は己の前の青白い鬼火を出してそれを灯りとして降りていく。牧村もその横にいて降りていっている。
「感じるか」
「かなりな」
牧村は死神に対して答えた。
「間違いなく下にいる」
「気配が強い」
死神は言った。鬼火に照らし出され青白くなっている顔で。
「しかも強くなってきている」
「そうだな。間違いない」
牧村だけでなく死神も言うのだった。
「霊安室にいるな」
「あの子供か」
「クマゾッツだな」
あの子供が何なのか、死神も知っているようだった。
「あれが待っているのだな」
「貴様もあの子供と知り合いか」
「魔神達とは全員古くからの付き合い」
それは一応は付き合いとは言った。
「腐れ縁ともいうがな」
「そういうものか」
「その通りだ。私はあの者達とも刃を交えたことがある」
今まで全くの謎だった彼の過去の一つだ。
「魂のことでな」
「魔物の魂を狩ろうとして戦ったのだな」
「その通りだ。どの者も強い」
彼等の実力も知っていた。
「しかもかなりな」
「俺が相手をできない程だな」
「能天使では神には遠く及ばない」
これが死神の彼への返答だった。
「遥かにな」
「そうか」
だがそう言われても動じたところのない牧村だった。
「わかった」
「そして魔物、そしてそれを司る魔神達は闘うに値しない者とは闘わない」
死神の言葉は変わったようでいてそれで変わってはいなかった。
「決してな」
「ではあいつとは闘わないか」
「それは絶対にない」
死神はまたその可能性を否定した。
「しかしだ。出て来る魔物はだ」
「やはり手強いか」
「そして見せてもらう」
彼は言った。
「貴様をな。じっくりとな」
「では見ているといい」
そして牧村もそれを隠そうとはしなかった。
「俺の闘いをな」
「そうさせてもらう。さて」
ここで階段が終わった。目の前に黒く重厚な扉がある。それは固く閉じられまるで全てを拒むかのようだった。
牧村はその扉に近付き右手を前に出した。そうして開いたそこはまずは漆黒だけがあった。だがその漆黒はすぐに死神の鬼火により朧に照らし出された。
照らし出されたその部屋の中には何もなかった。広くがらんとしたものだった。中には何も見えはしない。そして誰もいないように見えた。しかしであった。
「いらっしゃい」
「姿を消しているな」
「うん、ちょっとね」
楽しそうな子供の声が聞こえてきた。
「だってそっちの方が面白いしね」
「最初
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