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未来を見据える写輪の瞳
八話
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……シ……カシ」

 すると、大蛇丸がうわ言のように何かを呟き始めた。視線は未だ外すことが出来ず、痛みも収まるどころか強まっていく。

 「カ……カシ。カ、カシ。……カカシ。 カカシィ!」

 「大蛇丸……? いや。お前は一体、誰だ?」

 うわ言はやがて明確な言葉と成り、カカシの名を呼ぶ。憎悪の念を込めて。カカシは、目の前の人物が完全に大蛇丸では無い何者かになったことを悟った。

 「カカシ。よくも……よくもぉおおおおお!」

 我を忘れたかのようにして猛然と襲いかかって来る何者かに、カカシは咄嗟の対応が遅れてしまい、胸ぐらを掴まれてしまう。左目に走った一際鋭い痛みに、体が咄嗟に動かなかったのだ。
 だが、それでもすぐに次の対応をとる。相手に押され後ろに倒れる様に見せかけ、巴投げの要領で相手を後方へと投げ飛ばした。

 「カカシ! お前が、お前が!」

 「お前、は……」

 一体誰なのか。そう言おうとしたのに、カカシの口は自然と止まっていた。いや、左目から流れる涙が、カカシの口を止めたのだ。一体、この涙は何なのか。何故、泣いているのか。そう思ったその時、カカシはこの涙の意味を知った。

 「オ、ビト……?」

 己の左目から感じたのは歓喜の念だった。友から受け継いだこの目が歓喜を感じる相手など、”元の持ち主”を置いて他にいまい。

 「カカシィ……お前が、お前がリンを守らなかった。そして……そして! 俺が、俺の想いが……アイツを殺した!」

 リン。その名が出てきたことで、カカシは相手がオビトであることを確信した。うちはオビト。カカシの友人であり、写輪眼の元々の持ち主。
 何故、オビトが大蛇丸の体を乗っ取るなどということが出来たのか分からない。だが、それより今大事なのはオビトが発した言葉だ。

 「オビト……お前の想いがリンを殺しただって?」

 「俺は見たんだ! リンが死んだ任務の報告書。リンが、敵に捕らえられた仲間を救い出すために死んだこと! そして! その時の小隊の隊長がお前だったってことを!」

 「それは!」

 間違いではない。確かに、今オビトのいった通りもう一人の仲間であったリンは仲間を救うためにその命を落とし、カカシは隊長として彼女を救うことが出来なかった。だが、それがオビトのせいだということなど絶対にない。

 「俺が、俺が……!」

 だが、オビトの様子を見るに錯乱している節がある。自身に。そしてカカシにも強い怒りと憎しみを持っている今のオビトに、果たして言葉が通じるのだろうか。そんな疑問が、カカシの脳裏をよぎってしまった。

 「ぐっ……! カカシ! 俺は、お前を許せない! リンを救えなかった。お前が!」

 「オビト!」

 両手で頭を押さ
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