第十八話 力天その十六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「そして中南米に中近東、それに東欧じゃ」
「あらたに出て来た三柱か」
「左様、あの三柱」
やはり彼等のことであった。
「あの者達のいずれかが来るのは間違いないがのう」
「果たしてどの魔神が来るか」
「それは断定はできん」
博士はここでは即決はできなかった。
「しかしじゃ」
「しかし?」
「何となくクマゾッツが来ると思うのう」
考える顔になってこう牧村に述べたのであった。
「わしはな」
「あの子供か」
「中南米の魔物もまた実に独特じゃ」
博士は彼の配下にある魔物達に対しても述べる。
「用心してかかるようにな」
「あのチョンチョンという魔物は」
「あれにも結構てこずったようじゃな」
「数がな。尋常じゃなかった」
彼が言うのはその数のことだった。
「一つ斬ってもまた一つがやって来る。その相手が大変だった」
「そういう戦いかも知れんぞ」
「そうかもな。どちらにしろ俺がやることはだ」
「うむ。闘いそして勝つことじゃな」
「そうだ。俺は闘う」
言葉が鋭く強いものになっていた。
「何処までもな」
「髑髏天使の闘いにしてもじゃ」
博士の言葉はここでもまた発される。
「終わりについては今一つわからんところがあるしのう」
「終わりか」
牧村もまたふと考える顔になった。
「そういえば髑髏天使は五十年に一度この世に現われ魔物を倒す」
「しかしその結末はわからんのう」
「何処まで闘う?」
彼はまた言った。
「俺は。何処まで闘うのだ?」
「その時代の魔物が全ていなくなるまでじゃないの?」
呼ぶ子がふと言ってきた。
「それってやっぱり」
「この時代のか」
「そうじゃないの?やっぱり」
「それだと」
「いや、違ったと思うよ」
しかしここで垢舐めがこう言う。
「前の髑髏天使いたじゃない」
「ああ、あの人ね」
「そうそう、あの人。確か一年位闘ってそれで自然に消えたじゃない」
こう話すのだった。
「確かさ。それで魔物が消えて髑髏天使じゃなくなってさ」
「一年か」
「前の髑髏天使はそうだったんだ」
垢舐めは牧村に対しても話す。話すその間もその赤く長い舌をべろべろと動かしている。それが如何にも垢舐めらしい動きであった。
「五十年前のね」
「そうだったのか」
「僕達が覚えてる限りではね」
「確かそうだったよね」
「百年前の人もそうだったかな?」
「百年前の人は中国だったんじゃないの?」
話は日本以外にも及ぶのだった。牧村は話を聞いていて眉を動かすのだった。
「アメリカだったっけ」
「アメリカの人はその五十年前の人だったんじゃないの?」
「そうだったかな」
どうやら彼等の記憶はかなり入り混じっているようである。だがそれでも髑髏天使という存在は日
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ