第十八話 力天その十五
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「これまでは赤だったじゃない」
「そうだったのか」
「けれど今は黄色だよね」
「そうだったのか」
言われてはじめて気付く牧村だった。
「傘の色はあまり気にしないからな」
「しかも油も上等なの使って。糊だって選んだんだから」
「そうだよ。から傘って凄いお洒落なんだから」
「それわかってくれないと駄目だよ」
また横から妖怪達が笑いながら彼に話す。
「ちゃんとね。しっかりしてよ」
「髑髏天使なんだから」
「髑髏天使でも何でも興味のないことを知る趣味はない」
こう返すだけの牧村だった。
「別にな」
「まあ牧村さんはそういう人だからね」
「気にしても仕方ないし」
妖怪達ももうそれで納得していた。だからこれでいいとするのだ。
「とにかくさ。僕達だってお洒落するんだよ」
「これでもかなり自信があるんだから」
「それを考えると人間と変わりないのか」
彼はまた妖怪達の話を聞いて述べた。
「妖怪も」
「そういうことじゃ。わかってくれればいい」
またここで博士が彼に言う。
「よくな。それでじゃ」
「そうだ。俺が今日ここに来た理由だが」
「そうそう。それじゃ、棺桶に入っていた六人目の魔神じゃな」
「あの男も気になるが」
「それだけではないのか」
「そうだ。それだけではない」
牧村はザッハトルテをまだ食べていた。そうしてそのうえで彼に話していた。
「俺は今能天使だが」
「うむ」
「これより上は」
「力天使じゃな」
今度の階級はそれなのだった。能天使の上は。
「中級三階級のうちの第二階級」
それなのだという。
「それじゃ」
「そうか。俺は今度はそれになるのか」
「普通はそこまでなるのにもここまで早くにはなれんぞ」
彼は言った。
「異常な速さじゃな」
「それは何度も聞いたがな」
牧村にとってはいつも博士や妖怪や死神から言われていることである。
「だが。俺の他の髑髏天使のことは知らないからな」
「まあ知っていればおかしいことじゃ」
これは博士もわかっていることだった。何しろ髑髏天使は五十年に一度だけ現われる存在だからだ。従ってその時代にいるのは一人なのである。
「それはのう」
「文献にあるだけだな。他の髑髏天使のことは」
「左様。しかし確かに君が強くなるのは早過ぎる」
言葉に危惧も宿っていた。
「まさかとは思うがこのまま何かになるのではないのか?」
「何かか」
「その何かさえもわからんが」
これは博士にもまだわからないことであった。
「まあとにかくじゃ。今は闘うことが先決じゃ」
「魔物とだな」
「その通り。おそらくまたすぐに魔物を差し向けて来るぞ」
「今度出て来るのはどんな魔物かだな」
「とりあえず。そうじゃな」
博士は文献を読んで
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