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髑髏天使
第十八話 力天その十三
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「毎日磨いてるよ」
「寝る前には必ずね」
「だから健康なのだな」
 牧村はその話を聞いて頷いた。
「御前達も」
「そうだよ。それもいつもね」
「歯磨きだけじゃなくてお風呂にも入ってるし」
「風呂にもか」
 牧村はこれについては考えたこともなかった。まさか彼等が風呂にまで入るとは想像もしなかったからだ。だからここで言うのであった。
「入るのか」
「入るよ、それも毎日ね」
「ちゃんとね」
「それは意外だな。いや」
 言葉を変えてきた。
「想像もできなかったししなかった」
「そうなんだ」
「何か僕達ってそんなに変わった存在かな」
「妖怪だからな」
 このこと自体が話の根拠だった。
「だから当然だ。普通ははこう考える、人間ならな」
「僕達から見たら人間の方が変わってるけれどね」
「ねえ」
 しかし妖怪達は妖怪達で口々に顔を見合わせて言うのだった。
「だってさ。あれやこれやと忙しいし」
「楽に暮らせばいいじゃない、楽に」
「のんびりとね」
「それが人間だ」
 しかし彼はここでこう返した。
「それがな。人間社会は忙しいものだ」
「それが嫌なんだよね」
「僕達ってのどかなのが好きだから」
「そうそう」
 妖怪達は牧村の話を聞いてそのうえで言うのだった。
「人間もその世の中も嫌いじゃないんだけれどね」
「忙しいのがねえ」
「やっぱり嫌なんだよね」
「それは仕方がない」
 牧村は忙しいということには諦めろと彼等に告げた。
「それはな。人間だからだ」
「人間になったら忙しく感じないのかな」
「じゃあ今度はいつも念入りに変身して遊びに行くか?」
「それは見ているものが違うがな。しかしだ」
 牧村はまた話を変えてきたのだった。
「御前等人間が嫌いじゃないのか」
「そうだけれど」
「それがどうかしたの?」
「それが意外だ」
 牧村は言った。
「人間が好きなのがな」
「だってさ。人間だって世の中の一部だし」
「僕達もちゃんと世の中にいるしね」
「人間も妖怪も世の中か」
「それが理解できんようじゃな」
 博士はここでまた牧村に対して言ってきた。
「人間も妖怪も世の中ということが」
「少しな。人間と自然は対立すると言う人間もいるしな」
 この意見は確かにある。人を悪と考えてそのうえで述べる場合もあるし自然は征服するものだという西洋的な考えから述べる場合もある。どちらにしろ人間と自然は別のものだという考えである。
「それに妖怪はだ」
「自然そのものじゃな」
「よく山や水の中にいる」
 実際にその中から出て来ている妖怪達もこの研究室に大勢いる。すねこすりや青鷺火もそうだし一反木綿や砂かけ婆にしてもそうである。
「その妖怪達も世の中か」
「世の中は自然じゃよ」
 博士
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