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髑髏天使
第十八話 力天その七
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「別にな」
「そう?だったらいいけれど」
「とにかくだ。お茶は自分で淹れる」
 あらためてこのことを妹に話した。
「いいな。それで」
「ええ。私が飲むんじゃないし」
 未久の言葉は完全に他人事であった。それも当然であるが。
「好きにして。こだわってね」
「わかった」
「けれどよ。お兄ちゃんってココアとかコーヒーも飲むわよね」
「どちらも好きだ」
 彼もどちらも好きなのだった。甘党であるのでココアもよく飲むのである。
「それにチョコレートもな」
「チョコレートなら淹れてあげるけれど」
 ここで未久は自分から言ってきた。
「よかったらだけれど。どう?」
「チョコレートか」
「お砂糖を効かせてね」
 砂糖のところでにこりと笑ってみせてきた。
「どう?飲む?」
「いや、いい」
 しかし彼はそれはいいと言うのだった。
「やはり今は紅茶だ」
「そうなの」
「それもミルクティーだ。ロイヤルミルクティーにする」
「今日はそれなのね」
「ロシアンティーもいいがな」
 だがそれでもロイヤルミルクティーだというのである。
「今日はそれだ」
「ロイヤルミルクティーか」
 未久は今度はそれについて考えを巡らせた。
「それもいいわよね」
「御前も飲むか?」
 妹に対しても勧めるのだった。
「よかったら淹れるぞ」
「いえ、私はいいわ」
 今度は彼女が断るのだった。しかし無表情で相変わらず素振りを続けている兄とは違い妹はにこりと笑ってみせていた。そのうえで話すのだった。
「自分のがあるからそれで充分よ」
「わかった。それではな」
「ええ。ところでお兄ちゃん」
 そのにこりとした笑みのまま話を変えてきた未久だった。
「その若奈さんとはどうなの?」
「どうかとはどういうことだ?」
「だからよ。仲は進展したの?」
「御前に言う話じゃない」
 やはり感情が言葉に出ていた。微妙にではあるが憮然としているものだった。
「それはな」
「何よ、私の義姉さんになる人でしょ」
「どうしてそうなる?」
 声の憮然とした色がさらに強く深くなる。
「俺はそんなことは一言も言っていないぞ」
「あれっ、そうじゃないの?」
 今度はからかうような笑みになっての言葉だった。
「結婚するんでしょ?大学卒業したら」
「誰からそんな物語を聞いた」
 声は憮然としたものから次第に怒りのものへと変わってきていた。
「俺はそんなことは言ったことも話したこともない」
「けれどさ。付き合ってるんでしょ?」
 あくまでこう言って引かない未久だった。
「そうなんでしょ?だったらやっぱり」
「違うと言っても信じないな」
「うん、全然」
 やはりからかうようにして言うのだった。ケーキを食べ続けているその口元も緩んでいる。
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