第十七話 棺桶その二十五
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「それでいいな」
「まだどうなるかはわからない」
「わからないというのか。貴様が出した話でか」
「それでもわからないことはある」
死神の前にもまた彼のハーレーが来ていた。これまた彼の意志によって自由に動くことができるようである。
「私でもな」
「そうか。それもわかった」
牧村はそれを聞いてまた言うのだった。
「ではな。俺はこれでだ」
「帰るのだな」
「学校がある」
彼が行くのはそこだった。そこ以外にはなかった。
「これからな。また何かあれば学校に来い」
「わかった。ではそうさせてもらおう」
「しかし。貴様は普段何をしているのだ?」
サイドカーに乗りながらこのことも彼に問うのだった。
「人間の世界にいるのか?それとも」
「そのそれともだ。私は普段はこの世界にはいない」
このことはしっかりと話すことができるのだった。
「私がいる本来の世界にいるのだ」
「そうか。貴様の本来の世界にか」
「そして刈るべき命があればこの世界に来る」
そうしてそのうえで向かうのだった。
「その時にな」
「では。すぐにこの世界を後にするのだな」
言いながら今度はヘルメットを被るのだった。
「貴様のいるべき世界にな」
「元よりそうさせてもらうつもりだ。ではな」
死神もまたハーレーに乗る。そうしてそのうえで彼もヘルメットを被りそのうえで話すのだった。
「また会おう」
「この世界については何も思っていないようだな」
「少なくともどうこうしようというつもりはない」
これが死神の考えであった。
「別にな」
「世界を支配しようとしたり意のままにしようということはか」
「下らないことだ。私は権力を握るつもりはない」
また己の考えを述べるのだった。
「別にな」
「野心はないか」
「この世界は貴様等人間や他の生物のものだ」
「そういえば魔物達も野心はないな」
「魔物にあるのは闘争心だけだ」
それだけだというのだ。
「他にはこれといって何もない」
「そうだな。関心があるのはそれだけだ」
このこともわかってきている牧村だった。その彼等との闘いを経ているうちにだ。
「他にはないな」
「権力を目指したいのなら目覚せばいい」
それに興味がない者の言葉だった。
「私の興味の外だ」
「俺もまた同じだがな」
「それは確かに同じだ」
死神の言葉の色がまた戻ってきた。
「だが。それが人のものであるようにな」
「ふん、またそれか」
「このことはよく覚えておくことだ」
最後にこう言ってハーレーを発進させ姿を消した。牧村はそれを見届けると彼もまたそのサイドカーで学校に向かうのだった。闘いは終わり日常が戻った。だがこの二つは決して相容れぬものではなく言うならば表と裏なのだった。そうした関
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