第十七話 棺桶その二十四
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「貴様が敗れればその魔物を私が倒す。それだけだ」
「それだけか。しかしそれは適わないことだ」
髑髏天使は確信の言葉で彼のその素っ気無い言葉に返した。
「俺が負けることはないからな」
「相変わらずの自信だな。しかしそれも当然か」
「当然だというのか?」
「貴様はまた強くなろうとしている」
今度はこのことを彼に話してきた。
「またしてもな」
「強くなろうとしている。ではまた」
「そうだ。階級があがる」
具体的にそれが何かまで話すのだった。
「間も無くな」
「そうか。今は能天使だ」
己の今の階級から考えるのだった。
「その上となると」
「力天使だ。貴様の次の力はな」
「どんな力か楽しみだな」
「楽しみだというのか」
髑髏天使の今の言葉にふと眉を動かしてきた。
「強くなるのが」
「それだけ魔物を倒せるようになる」
だからこそ楽しみだというのだった。
「だからな」
「それだけならばいいがな」
死神の言葉は微かだがその色を変えてきていた。
「貴様がそれだけであればいいがな」
「それだけならばいい?」
「そうだ。貴様は今は人だ」
これは髑髏天使にはわかりきっていたことであり言葉を聞いて妙だと思うのだった。しかし死神がここで言った言葉はそうではなかったのである。
「だが。これからは変わるのかもな」
「変わるだと。俺がか」
「人であればいい」
彼は人ならばいいとした。
「人としての貴様は私が刈る運命ではない。しかし魔物になったならば」
「何だ?」
「その時はわからない。それは覚えておいてくれ」
「覚えておこう」
こう返しはした。
「意味はわからないがな」
「今はわからなくともいい。しかし覚えておくことだ」
彼はこのことを強調するのだった。
「よくな」
「話はそれで終わりだな」
それが一段落したところでこう言い返すのだった。
「では。帰らせてもらう」
「人間の世界に戻るのだな」
「俺は最初から人間だ」
応えながら変身を解く。そのうえで髑髏天使から牧村の姿に戻るのだった。そうして牧村の姿でこれまたフードの姿に戻った死神に自分から言った。
「そしてこれからも人間だ」
「人間であり続けるのだな」
「人間でなければ何だというのだ?」
また問い返す牧村だった。
「俺は何だ?人間でなければ」
「今は確かに人間だ」
彼はまた言った。
「人間だ。しかしこれからは変わるかも知れない」
「それも覚えておけというのだな」
「そうだ。覚えておくのだ」
死神の言葉は続く。
「いいな」
「覚えておくだけでいいのなら覚えておく」
話の間にサイドカーが牧村の前に来た。彼が自分の前に来るように頭の中で考えた結果の動きである。
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