第十七話 棺桶その二十三
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髑髏天使はすぐにその腹から剣を抜きそのまま上昇する。そのうえで空中で体勢を立て直し着地する。その後ろに魔物の巨体が落ち地響きを立てた。
「この通りだ」
「くっ、まさか私の腹を狙ったのか」
「確かに貴様の鎧は堅固だ」
彼のその皮を鎧と表現していた。
「しかしだ。それでも弱点はある」
「それが腹だというのだな」
「どのような存在でも腹は弱いものだ」
生あるものはどんなものでもということだった。
「それを突いただけだ」
「その通りだ。だが竜巻を使ってそれをやるとはな」
「風だ」
また風のことを話に出す。
「風にはこうした使い方もある。もっとも今それで気付いたのだがな」
「だが。勝利を収めたのは事実だ」
「そうだ、俺は勝った」
まだ立ち続けている魔物に目を向けていた。魔物は地面に叩き付けられたがそこからすぐに起き上がったのだ。それはまさに誇りから来るものであった。
「貴様に。竜巻を使ってな」
「見事だと言っておこう」
魔物はその彼を認めるのだった。
「では。私はこれでな」
次第にその巨体に青白い炎が生じてきていた。
「去らせてもらおう」
「では俺はそれを見届けよう」
髑髏天使は彼から目を離さなかった。
「こうしてな」
「礼を言う」
今度の魔物の言葉はこれだった。
「貴様のその心遣い。まさに戦士だ」
「俺は戦士ではない」
しかし髑髏天使は魔物の今の言葉は否定した。
「戦士ではな」
「では何だというのだ?」
「天使だ」
魔物の問いに返した言葉はこれであった。
「俺は髑髏天使だ。他の何者でもない」
「そうか。そうだな」
今の言葉を聞いた魔物の声が微笑んだ。
「髑髏天使だったな。確かに」
「その通りだ。俺は髑髏天使だ」
彼はこのことをまた告げた。
「それ以外の何でもない」
「では髑髏天使よ」
遂にその全身を青白い炎に包ませながら最後の言葉を述べてきた。
「さらばだ」
最後にこう言い残し炎の中に消えた。こうして髑髏天使のここでの闘いは終わった。闘いが終わると彼は静かに死神に対して顔を向けた。
「貴様の方も終わったようだな」
「そうだ。私の方もな」
彼もまた髑髏天使のその言葉に応えてきた。
「終わらせた」
「随分と手強そうな魔物だったが」
「何、大したことはなかった」
苦戦したという意識は確かに彼にはなかった。
「あの程度で私は倒せはしない」
「神だからか」
「そういうことだ。神の力ではな」
その神の力も認めていた。
「どうということはない。それこそ魔神でもなければ私は倒せはしない」
「そうか。では気にしなくて正解だったな」
「私もまた貴様のことは気にしてはいなかった」
それは彼自身もというのだった。
「全くな
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