第十七話 棺桶その二十
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「何をしても無駄ということか」
「その通りだ。貴様の攻撃では私は倒せない」
何度めかの突撃をかわされ反転しながら彼はまた言ってきた。
「風ではな」
「風は刃となる」
それでも彼は言う。
「それで斬ることができないというのか」
「その通りだ。そして火もだ」
権天使としての力である。
「それもまた私には通じない」
「貴様のその鎧にはだな」
「そういうことだ。つまり貴様はやがてその体力を消耗していき」
ここからはストーンカが見る闘いの流れだった。
「やがて私の角を受けることになる。それで終わりだ」
「果たしてそうなるか」
「なる。何時かはな」
魔物の言葉は絶対のものがあった。
「現に貴様の体力は消耗しはじめているな」
「それもわかっているのか」
「動きでわかる」
その絶対の言葉がまた出された。
「すぐにな。さて、それではだ」
「来るか」
また突撃してくるのだった。やはり彼のその突撃をかわすことが次第に難しくなってきていた。彼もまた次第に劣勢になろうとしていた。
そしてマンティコアに組み敷かれ防戦となっている死神だが。彼はその中で今にも倒れんとしていた。牙は容赦なく執拗に彼を喰い千切らんとしていた。
「さあ、何時まであがく?」
魔物は既に勝ち誇ってさえいた。
「いずれは力尽き俺の牙に倒れるがな」
「勝ったつもりか。既に」
「では勝てるというのか?」
赤い光を放つ目にもそれが出ていた。
「今の状態の貴様が俺に」
「できると言えばどうだ?」
「戯言を」
やはりそれを信じようとしなかった。
「そのようにいくものか。今の貴様ではな」
「一つ見せていないものがある」
だが死神は落ち着き払った声で彼に告げてきた。
「貴様にはな。まだ見せていないものがあるのだ」
「まだだと!?」
「そうだ。私はただ宙に浮かんだり幻術を使ったりするわけではない」
その二つだけではないと言うのだった。
「私の最も得意とする術はだ」
「それは一体」
「これだ」
その言葉と共にであった。不意に彼を完全に組み敷くマンティコアの周りに幾つもの人影が出て来た。何とその人影は。
「何だとっ!?これは」
「これが私の切り札だ」
組み敷かれてもそれでも自信に満ちた言葉を出せたのだった。
「これこそはな」
「馬鹿な、この術は」
己が組み敷いている死神から目を離しその幾つもの人影を見て驚きの言葉をあげていた。
「この状況で使えるというのか」
「もっと言えば何時でも使える」
死神はさらに言った。
「好きな時にな」
「くっ、それが神の力だというのか」
「その通りだ。さあ我が分け身達よ」
その自分自身達に対しても告げるのだった。
「攻めろ。好きなようにな」
「ちいっ
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