第十七話 棺桶その十八
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「貴様のことをな。ではこちらもだ」
「本気になるか?」
「最初から本気だ。俺は手を抜くことはない」
それはすぐにわかることだった。何故ならその目が相変わらず。鮮血の殺意の色だったからだ。その目こそが何よりの言葉であった。
「では。この力の全てを使って貴様を喰らう」
「では来い」
今度は羽ばたいた。その蝙蝠の翼で。そうして宙に浮かび立っている死神に対して急上昇する。二人の闘いは橋の下で空中戦になっていた。
彼等がそうして激しい空中戦に入っているその横では髑髏天使とストーンカが対峙を続けている。髑髏天使は既に能天使になっている。
「さて、来い」
「言われずともだ」
ストーンカはその漆黒の巨体を誇示するかのように告げてきた。
「貴様を倒す」
「その言葉はいつも聞くな」
「そうか。言ったのは私だけではないか」
ストーンカはそれを聞いても冷静なままだった。
「私だけではないか。この言葉を言ったのは」
「そうだ。闘いの度に聞いている」
このことも話す彼だった。
「しかしだ。俺にその言葉を告げた魔物はだ」
「常に倒されているとでもいうのか?」
「その通りだ。では覚悟はいいな」
答えながらその両手に持つそれぞれの剣を構える。両手の剣には風が次第に宿ってきている。今は鋭さはないがそれでも漂いだしていた。
「貴様もまた俺に倒されるのだ」
「確かに私は同胞達と同じことを言った」
魔物もそれは認める。
「しかしだ。私と彼等は違う」
「勝つというのだな。俺に」
「私に敗北はない」
彼はまた言う。
「決してな。私の力を知っているのならそれもわかる筈だ」
「ストーンカの力か」
「私はバルカン半島を暴れ回ってきた」
それが彼の行ったことなのだ。その力はバルカンにおいて今もなお知らない者はいない。
「長きに渡ってな」
「そしてその力によってか」
「そういうことだ。ではな」
魔物もまた身構えてきた。身構えながらそのうえで前足を動かしてきた。右の前足が勇ましく動き蹄を鳴らしていた。
そうしてだった。一直線に向かってきた。黒牛の姿に相応しく凄まじい速さと衝撃力を見せながらそのうえで突き進んできたのだった。
「むっ!?」
「さて、どうする?」
魔物は突進しながら髑髏天使に対して問うてきた。
「私のこの突進。防げるか」
「防ぐ必要はない」
髑髏天使は冷静な声で彼に返す。身動きせずにだ。
「むしろ貴様のその突進を防ぐ力は俺にはない」
「わかっているというのか」
「己を知ること」
彼はまた言ってきた。
「そうでなければ闘いに勝つことはできない」
「それはその通りだ。ではそれによりどうするのだ?」
魔物の問いがここでも出される。
「この私の突進を。防げないのならば」
「
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