第十七話 棺桶その十四
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「案内させてもらうついでにな」
「魔物が一人でなかったならどうするのだ?」
その場合は、ということだった。
「俺は魔物を倒すが。貴様はどうするのだ?」
「勿論私も倒させてもらう」
死神も退く素振りは見せない。
「そして貴様がどうしてもと言うのならばだ」
「面白い。ではその場合も楽しみしている」
牧村はにこりともせず述べた。
「ではな。行くか」
「来い」
死神はヘルメットを被りながら彼に告げた。
「案内はしてやる」
「案内はか」
「それだけはしてやる」
彼はまた言った。
「しかしだ。それからはだ」
「どうなるかわからないか」
「貴様が譲るのなら問題はない」
死神は退く素振りを何一つとして見せない。
「そうでなければ私の相手が増えるだけだ」
「それは俺もだ」
そして彼も同じであった。
「相手が増えるだけだ。それにだ」
「それに。何だ」
「この前の闘いは中断されていたな」
そのことも話してきた。
「確か。そうだったな」
「そうだな。ではそれもか」
「貴様が望むのなら続きをしてやる」
既にその言葉は髑髏天使のものになっていた。
「その続きをな」
言いながらサイドカーに乗りそのうえで死神の後についていく。そうして辿り着いたのは電車の橋の下だった。川辺にあるその砂利の場所に来たのだった。
上からはその電車が行き交う音が時折聞こえ土と砂利が下にある。柱は重そうなコンクリートでありいささか年代を感じさせるものだ。少し欠けた部分もあった。
彼等はその柱の傍にそれぞれのバイクを止めた。そうしてそこから言うのだった。
「ここか」
「そうだ、ここだ」
死神はハーレーから降りながら同じくサイドカーから降りようとしている牧村に答えてきた。
「魔物の気配はここにある」
「その魔神にか」
「気配自体はある」
彼はバイクから降りて周囲を見回しながら語る。
「しかしだ。姿はだ」
「見えないな。今のところは」
サイドカーから降りた牧村も周囲を見回していた。
「何処から出て来るかわからないがな」
「さて、魔神ならそろそろ出て来るな」
死神はまた言った。
「何処からだが」
「むっ!?」
ここでであった。牧村は前に顔を向けた。すると川からあるものが流れてきた。それは。
「あれは・・・・・・」
「棺だな」
死神が流れてくるその黒く細長いものを見て言った。
「あれは」
「西洋の棺か」
「そうだ、それだ」
それだと言うのだった。
「棺だ。ということはだ」
「あの中に魔神がいるのだな」
「おそらくな。それでははじまりか」
「出て来い」
牧村はその川を流れる棺を見据えながら言うのだった。
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