第十七話 棺桶その十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「口は災いの元だという言葉がな」
「やばいね、牧村さんマジで怒ってるね」
「そうだね」
それが今更ながらわかったのだった。
「これはちょっと言い過ぎたかな」
「どうしよう。斬られたら痛いよ」
「痛いどころじゃないよ」
実際のところそれどころでは済まない話だった。しかし彼等はいつもの能天気さをそのままにしてここでも明るく言うのだった。
「ううん、どうしたものやら」
「とりあえず牧村さんに怒りを止めてもらわないとね」
「そうだね」
そんな話をしたうえでまた言うのだった。
「どうする?あれ出す?」
「それしかないぞ」
一反木綿と砂かけ婆が話し合う。
「そうじゃのう。高いがのう」
「斬られては元も子もないからのう」
「そうだよね。もうそれしかないね」
「うん、確かに」
彼等の話にから傘と赤舐めが頷く。
「もうね。切り札を出すしかね」
「それしかないね」
「全部聞こえているぞ」
その彼等に牧村が突っ込みを入れる。
「全部な」
「あっ、聞こえてたよ」
「まずいな」
そうは言っても緊張感は微塵もないままであった。
「まあいいさ。とりあえずあれ出そう」
「そうだね」
それでも言い合って出してきたのだった。それは。
「はい、どうぞ」
「これを」
「これは」
「三色団子だよ」
見れば確かにそれであった。三色団子が三本皿の上にあった。桃に白、緑の三色が実にいい。
「これ食べて機嫌なおして」
「御馳走するから」
「何本でもあるし」
「何本でもか」6
牧村はそれを聞いてまずは言葉だけで応えた。
「好きなだけ食べていいのだな」
「うん、だから機嫌なおして欲しいな」
「流石に髑髏天使に斬られるの嫌だから」
牧村が本気で言っているわけではないとはわかっているがそれでもであった。
「だからどうぞ」
「食べて食べて」
「遠慮せずに」
「最初から遠慮するつもりはない」
牧村の方も最初からそのつもりはないのだった。
「好きなだけ食べさせてもらうが」
「じゃあ機嫌なおしてくれる?」
「このお団子で」
「別に怒ってもいない」
牧村自身も実際のところを語ってみせる。
「機嫌はすぐになおるものだしな。それよりもだ」
「うん。それよりも?」
「この団子だが」
団子のことを彼等に尋ねるのだった。
「これは何処の団子だ?山月堂か?」
「ううん、スーパーの」
「スーパーで買ったやつだよ」
「そうか。それか」
それを聞いてまずは頷く牧村だった。
「それでいいよね、別に」
「食べてくれるよね」
「さっきも言ったが遠慮なく食べさせてもらう」
言いながらその団子を一本手に取った。そうしてそれを口の中に入れるのだった。
団子のそのもちもちとした感触と控
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ