暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
SAO編
四話 従兄弟同士
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


『ああ、死ぬのか此処で……結局、クラインの事も見捨てておいてこのざま。情けない、な……』
 やけにゆっくりと、ワームが自分の首に喰らい付こうと近付いて来るのが見える。剣はさっきの奇襲で石に腕を弾かれて飛ばされたので、防ぐこともできない。

『スグ、母さん、親父、ごめん。リョウ兄、頑張ってくれよ……』
 俺は今は此処にいない家族と、俺と同じくこのゲームに囚われているはずの従兄弟の事を思い浮かべながら目を閉じようとした。だが、
「ァアアアグゴギャ!?」
 俺の頭に喰らい付こうとするその瞬間、今度はワームが横から来た『何か』に吹っ飛ばされた。

「……は?」
「おっオオオ!!」
 横から来てワームを吹っ飛ばした『何か』、両手槍使いの青年は、突然の事に呆けた俺の事を無視してワームに白ののライトエフェクトを纏った右斜め上からの槍の振り下ろしをたたき込む。

重両手槍 初級単発技「スラッシュ」
 大上段からの一撃は、初級技だがこの層のモンスターには十分すぎる攻撃力を持つ。それをもろに受けたワームは、今度こそ大音量と共にその命を無数のポリゴンにして散らしたのだった。


「無事か!?あんた!」
 ワームを倒し、振り向いた両手槍使いの青年が片手直剣使いの少年の安否を確かめるために小走りで少年に近付く。どちらからも相手の顔はよく見えなかったが、とりあえず自分の命の恩人に感謝を伝えなければと思い、少年は頭を下げておく。
「何とか大丈夫です……。ありがとうございました。貴方の援護が無ければ今頃俺は死んでいた。」
すると青年は驚いたように、

「おいおいよしてくれ。助けられる所に、今にも殺されそうな奴が居るのに放っておけって方が無理な話だ。頭を上げてくれ」
 気さくで軽い感じだが、それでいてどこか真面目で不快感の無い話し方。どこかで聞いたような……?
そう思いつつ顔を上げると、そこには少年が、ある意味必ずいつかは会うだろうと思っていた人物が立っていた。

「リョウ兄?」
 少年がリョウ兄と呼んだ人物は、背の高い、どちらかと言うと引き締まった感じの細身の青年だった
「え、カズ?」
そして青年の方も少年の顔を目を真ん丸くして凝視している。

『確かにいつか会うだろうとは思ってたけど、まさかこんなに早くとは……偶然にしても出来すぎだろ』
従兄弟の目を丸くした顔を見ながら、少年こと桐ヶ谷 和人、HN、『キリト』は思うのだった。

────

 俺は丸テーブルの前に座っていた。
ここは、アインクラッド第一層、始まりの町北西の小さな村の宿、その一階にある食堂だ。
今、俺の前には一人の少年が座っている。
先程俺が戦闘に割り込んで、結果的に助けた形になった少年。
正体は現実世界で俺の従兄弟である、カズ……キリト
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ