第十七話 棺桶その六
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「筋肉のつき方を見ればのう」
「ならこのまま食べていていいな」
「よいぞ。甘いものもまた必要じゃからな」
「必要か」
「人間の友達じゃよ」
こんなふうにも言う博士だった。
「酒だの甘いものだのはな」
「博士はどちらでもいけるのだったな」
「ふぉふぉふぉ、両刀使いじゃよ」
今度は声が綻んでいた。
「酒でも甘いものでもな」
「ある意味羨ましいな」
牧村はそんな博士の言葉を聞いて少し述べた。
「どちらもというのはな」
「何じゃ?酒を飲みたいのか?」
「そういう時もある」
表情も声の色も変わらないがそれでもそこにははっきりとした感情があった。
「時としてな」
「まあ酒は体質じゃからな」
「少し飲んだだけで駄目だ」
かなり極端な下戸なのであった。
「もうそれでな。倒れてしまう」
「やれやれ。魔物を倒す髑髏天使にも弱点があったか」
「酒も弱点になるのか」
「これがなるのじゃよ。しっかりとな」
「酒を操る魔物でもいるのか?」
「いるかものう。まあそれでも実際にそれが闘いに関わるかというとな」
「どうなのだ?」
「ないじゃろうな」
首を捻り髭をしごきながら述べた言葉だった。
「髑髏天使になってしまえばな。身体の構造自体が変わるからな」
「では弱点ではないな」
「いや、しかし弱点じゃよ」
それでも弱点だと指摘する博士だった。
「それはな。しっかりとした弱点じゃよ」
「つまり髑髏天使ではなく俺にとってはか」
ここでやっと博士が今何を言いたいのかわかったのだった。
「弱点だ。そうだな」
「そういうことじゃ。君は髑髏天使じゃが」
「同時に牧村来期でもある」
「うむ。人でもあるのじゃよ」
やはりそうであった。博士が今言いたいのはこのことだった。牧村来期は確かに髑髏天使だ。しかし同時に牧村来期でもあるのだ。そういうことだった。
「君はのう」
「俺の弱点か」
「もっとも些細な弱点じゃがな」
あらためて告げた言葉もまた笑みと共にあった。
「酒が飲めない程度はな」
「気にすることはないか」
「酒が飲めないからといって死ぬわけではない」
それはまさにその通りだった。飲めないからといってそれで死ぬわけではない。むしろ過度に飲み過ぎそれで死ぬことはあってもだ。
「かわりに甘いものを食べるというのもいいものじゃしな」
「そうだな。では」
「では?」
「何か食べに行くか」
身体を壁から起こしそのうえで述べるのだった。
「今からな」
「何言ってんの」
「今から食べるのに」
しかしここで妖怪達が彼に対して声をかけるのだった。いつものように。
「お菓子、あるよ」
「羊羹ね」
「羊羹か」
「スーパーで買ったものじゃがな」
見れば博士はもうその羊羹を食べて
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