暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第十六話 青年その十二
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「俺が伸ばせるのは右腕ではない」
「むっ!?」
「こちらもだ」
 言いながら今度は左腕を伸ばしてきたのだった。そのうえで先程のように絡め取るのではなく殴ってきた。リーチを伸ばして髑髏天使の顔を狙ってきたのだった。
「こういうこともできるのだ」
「くっ」
 その拳に対して右手の剣を振るってそのうえで拳を手首のところで切ってみせた。拳は空しく宙を飛び腕はあえなく後ろに身を引いた髑髏天使にかわされてしまった。
 しかしそれでも。魔物の余裕は変わらなかった。
「言った筈が。斬られてだ」
「平気なのだな」
「そうだ。見るのだ」
 かわされた左腕は元の長さに戻っていく。髑髏天使は這い回ろうとしているその拳に対して右手に持っている剣を振るいそこから鎌ィ足を放って両断した。しかしその左手は真っ二つになってもそれぞれが動きそのうえでまた本体に這っていくのだった。
「このようにまた斬られてもだ」
「ではこれではどうだ?」
 髑髏天使は今度は炎を左手に持つサーベルから放った。炎を刃にして放ちそれでその分かれた左手に当て燃やすのだった。
「屍は炎によって焼かれるものだ」
「日本ではそうなのか」
「貴様の国では違うかも知れない」
 これは国によって違う。基本的にキリスト教やユダヤ教の世界においては遺体は土葬である。それに対して仏教の日本では火葬が主流になっているのだ。
「だが。これならばもう回復はできない。違うか」
「そうだな。少なくともつけることはできない」
 グールもそれは認めるのだった。
「しかしだ」
「まだ何かあるのか」
「そうだ。見るのだ」
 髑髏天使に告げながらその左手の斬られた部分を前に出して彼に見せてきた。すると。
「こうなるのだ」
「むっ!?」
「見るのだ」
 魔物はまたその左手を見せながら言うのだった。
「俺の力をな」
「むうっ!?」
 ここで彼は見た。何とその斬られた部分から何かが出て来るのをだ。そうしてその出て来たものは次第に形になってきてそうしてそれはあの左手になるのだった。
「出て来るというのか。手が」
「くっつけるだけではない」
 グールは次第にその形を作っていく左手を見てまた告げた。
「こうしてだ。再生することもできるのだ」
「そうしたこともできるのだな」
「その通りだ。俺を甘くみるな」
 手を完全に回復したうえでまた告げた。告げるその間にもう完全に回復してしまっていた。
「こういうこともできるのだ。
「どうやら俺の予想以上ということだな」
「貴様の予想は確かにかなり読んでいたのだろう」
 髑髏天使のその読みに対しても返してきた。
「しかしだ。俺はそれ以上だった」
「そういうことか」
「そうだ。そういうことだ」
 ここでも静かに彼に告げるのだった。
「わ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ